7nmプロセス以下の先端プロセスを中心に生産能力が今後も拡大

SEMIは6月25日(米国時間)、「300mm Fab Outlookレポート」の最新版において、全世界の前工程半導体ファブが生成AIによる需要増に対応するべく、生産能力の拡張を加速しているとの調査結果を発表した。

それによると、世界の半導体製造業界はAI需要の高止まりを背景に、7nm以下の先端プロセスを中心に生産能力の拡大を継続しており、全体として2024年~2028年の年平均成長率(CAGR)7%となり、月産1110万ウェハ規模にまで成長することが予測されるという。

また、先端プロセスのみの生産能力を見ると、2024年に生産能力は月産85万ウェハ規模であったが、CAGR14%で成長し、2025年には前年比15%増の月産98万2000万ウェハへ、2026年は月産116万ウェハまで伸ばし、2028年には2024年比約69%増の月産140万ウェハまで増加することが予測されるともしている。さらに、先端プロセスの中でも2nm以下の超先端プロセスについては、2nmプロセスの量産開始年となるであろう2025年は月産20万ウェハを下回る規模としているが、2028年には月産50万ウェハを超す水準まで拡大され、その大半がAI関連の半導体となるとしている。

  • 7nm以下の先端プロセスの生産能力の成長率予測

    7nm以下の先端プロセスの生産能力の成長率と、7nmよりも以前のプロセスの生産能力の成長率予測 (出所:SEMI)

2nm以下の超微細プロセスへの投資がけん引役に

SEMIでは、2026年までに2nmプロセスの量産が開始されることに続き、2028年には1.4nmプロセスの商用展開も期待されるとしており、こうした半導体市場の需要を背景に、設備投資額も先端プロセスに対するものが中心となると予測され、先端プロセス向け半導体製造装置への設備投資額は、2024年の260億ドルから、CAGR18%で成長し、2028年には2024年比98%増の500億ドル超えが予想されるとしている。中でも2nm以下の製造に対応するウェハファブ装置(WFE)への投資額は2024年の190億ドルから2028年には430億ドルへと増加する見込みで、これは半導体業界が次世代プロセスの生産能力の確保に積極的に取り組んでいることを裏付けるものであるとしている。

なお、SEMIのプレジデント兼CEOのAjit Manocha(アジット・マノチャ)氏は、「AIは世界の半導体業界に変革を起こしており、先端プロセスの生産能力の拡大をけん引している。AIアプリケーションの急速な普及は、半導体エコシステム全体での活発な投資を促進しており、半導体業界が技術イノベーションの推進と先端プロセスの需要急増における対応において、重要な役割を担っていることを浮き彫りにしている」とコメント。SEMIでは、2025年以降はAIの学習に加えて、推論に対するニーズの拡大も期待されるほか、AIパーソナルアシスタントなどの実現に向けた動きや、フィジカルAIとなるロボットの進化なども期待されており、少なくとも今後数年間にわたって、先端プロセスに対する旺盛な需要は維持されるとの見通しを示している。