Tech Transparency Project(以下、TTP)は6月12日(米国時間)、「TTP - Spot Check: Apple and Google Still Have a Chinese VPN Problem」において、AppleおよびGoogleの公式ストアが中国企業の仮想プライベートネットワーク(VPN: Virtual Private Network)アプリを提供していると報じた。
これは、4月に報じた一部のVPNアプリが中国経由でトラフィックをルーティングしている問題の続報となる(参考:「iPhoneの人気VPNアプリが中国にトラフィック送信 | TECH+(テックプラス)」)。
Appleは一部アプリを削除、Googleは対応せず
TTPの調査によると、AppleおよびGoogleはこれらVPNアプリから利益を得ている疑いがあり、米国民のプライバシーと国家安全保障の脅威になっているという。これらVPNアプリは中国企業所有であることを隠し、秘密裏にトラフィックを中国政府と共有している可能性があるとみられる。
4月に公開されたTTPの報告について、フィナンシャル・タイムズはAppleにコメントを求めている。Appleはその問い合わせに応じ、中国のサイバーセキュリティ企業「奇虎360(Qihoo 360)」に関連するアプリのうち「Thunder VPN」および「Snap VPN」の2つをストアから削除したという。
TTPはその後も追跡調査を実施しており、5月初旬にAppleがこっそりと「Signal Secure VPN」を削除したことを確認。しかしながら、同中国企業が関与している「Turbo VPN」および「VPN Proxy Master」は利用可能な状態が続いていると報告している。
一方、GoogleはこれらVPNアプリをいずれも削除しなかったことが報告されている。
Appleは13アプリ、Googleは11アプリを提供中
本稿執筆時点において、Apple Appストアから利用可能な中国系VPNアプリ(TTP調べ)は次のとおり。
- X-VPN - Super VPN & Best Proxy
- Ostrich VPN - Proxy Master
- VPN Proxy Master - Super VPN
- Turbo VPN Private Browser
- VPNIFY - Unlimited VPN
- VPN Proxy OvpnSpider
- WireVPN - Fast VPN & Proxy
- Now VPN - Best VPN Proxy
- Speedy Quark VPN - VPN Proxy
- Best VPN Proxy AppVPN
- HulaVPN - Best Fast Secure VPN
- Wirevpn - Secure & Fast VPN
- Pearl VPN
本稿執筆時点において、Google Playストアから利用可能な中国系VPNアプリ(TTP調べ)は次のとおり。
- Turbo VPN - Secure VPN Proxy
- VPN Proxy Master - Safer Vpn
- X-VPN - Private Browser VPN
- Speedy Quark VPN - VPN Master
- vpnify - Unlimited VPN Proxy
- Ostrich VPN - Proxy Unlimited
- Snap VPN: Super Fast VPN Proxy
- Signal Secure VPN - Robot VPN
- VPN Proxy OvpnSpider
- HulaVPN - Fast Secure VPN
- VPN Proxy AppVPN
中国政府にトラフィックを提供している可能性も
TTPはこの問題について、Apple、Googleおよびアプリに関連した企業にコメントを求めている。コメントに応じた企業は一部に限られ、AppleおよびGoogleは応じなかったとされる。
TTPはこれらアプリは安全ではなく、中国政府や関連企業に通信トラフィックを提供している可能性があると指摘している。これに対し、一部アプリの開発企業は中国との関連を否定し、ユーザーのプライバシーを厳格に保護していると反論している。
しかしながら、TTPの調査でこの企業の取締役が「奇虎360」のセキュリティ部門を率いていた人物と同名なことが判明しており、疑いの目が向けられている。これらアプリの安全性についてここでは評価しないが、アプリストアを運営する各企業にはユーザープライバシーを保護するために徹底的な調査を実施することが望まれている。