2025年第1四半期の半導体企業売上高ランキング

半導体市場動向調査/コンサルティング会社の米Semiconductor Intelligence(SI)が2025年第1四半期の半導体企業売上高ランキングトップ16を発表した。

同四半期はほとんどの大手半導体企業にとって低調で、トップ16社のうち10社は前四半期比で売り上げを減少させている。一方で成長を遂げたのは6社で、中でもNVIDIAはAI需要の高まりの持続により、同12%増を達成している。また、ランキングには含まれていないが、大手ファウンドリのTSMCはトップのNVIDIAと2位のSamsung Electronicsの間に位置している。

また第2四半期の見通しはまちまちで、ガイダンスを提供している14社のうち9社が前四半期比で成長を予測している。中でも高い成長率を出しているのはSK hynixで、同14.6%増としている。MediaTekは横ばいになると予想しているので、それを除いた4社が減収予測で、最大の下げ幅はキオクシアの同10.7%減である。また、このSK hynixの伸びにより、Intelは5位まで順位を落とす可能性が出てきた。

日本企業としてランクインしているのは、15位のキオクシア、16位のルネサス エレクトロニクスの2社のみである。

  • 2025年第1四半期の半導体企業売上高ランキングトップ16

    2025年第1四半期の半導体企業売上高ランキングトップ16 (出所:SI)

半導体産業の今後は関税の不確実性で不透明

半導体メーカーの多くが決算説明会などの際に、関税の影響による経済の不確実性を不透明な見通しの要因として挙げている。また、最終応用製品市場を見ると、2025年は前年比で減速する分野が多いとみられている。例えば、IDCの予測だが、サーバ市場は2024年の同73%増(ドルベース)から2025年は同26%増に留まる見込みで、スマートフォンの出荷台数も2024年の同6.1%増から2025年には同2.3%増に低下する見込みとしている。

ただしPCについては、2024年の同1.0%増から、2025年には同4.3%増へと成長し、けん引役になることが期待されている。世界経済の不確実性にも関わらず、Windows 10のサポート終了とAIニーズの増加がPCの成長を牽引するはずだとSIは見ている。

国際通貨基金(IMF)は関税をめぐる不確実性を主な理由として4月に世界GDPの見通しを引き下げ、2024年の3.3%から2025年は2.8%との見通しを示している。先進国と新興国・発展途上国の両方で、成長は全体的に減速し、米国の同1.0%減、中国の同1.0%減、メキシコの同1.8%減などが大きな減速として見込まれている。

2025年の半導体市場は緩やかな成長傾向

最新の2025年の半導体市場の成長率予測は、SIの7%からTechInsightsの14%まで幅があり、平均は10.5%となる。また、TechInsightsは関税の影響が中程度であれば8%に、深刻であれば2%に低下するともしている。SIの予測は、主に関税に関する不確実性に基づいており、半導体に関する関税は未発表だが、仮に直接影響を与えなくても主要産業に影響を与える可能性があり、半導体市場は2026年まで1桁台前半の成長にとどまる可能性があるとしている。ただし、AI関連の需要を一手に引き受けるTSMCは、通期の成長率を20%半ばと予想している。

  • 主要市場動向調査会社による4〜5月時点での2025年通期半導体市場成長率予測

    主要市場動向調査会社による4〜5月時点での2025年通期半導体市場成長率予測 (出所:SI)