TIとNVIDIAが次世代AIデータセンターの電力技術開発で協業
Texas Instruments(TI)は5月23日(米国時間)、NVIDIAとAIデータセンターのサーバに向けた800V高電圧直流(DC)電力分配システムにおける電力管理および検知技術の開発に関する協業を発表した。
AI需要の増加に伴って高性能化が進むGPUだが、その消費電力は増加傾向にあり、データセンター1ラックあたりの電力需要は現在の100kW程度から、将来は1MW以上に増加することが予想されているが、実際に1MWの電力を供給するうためには、現在の48Vの電力分配システムでは450ポンド(約204kg)の銅を使用する必要があり、物理的に拡張性のある電力供給を継続することが難しいとされている。
800Vの直流電力化により、高効率化や高変換効率の実現を目指す
そこで提案されるのが、より高電圧の800VのDC電力分配技術であり、高電圧化することで、将来のAI半導体に必要な電力密度と変換効率を提供しつつ、電源サイズの拡大や重量の増加、複雑化を抑制することが可能になり、それによりデータセンターの需要の進化に合わせた電力効率の高いラックの拡張を図っていくことができるようになるとTIでは説明している。
TIフェローでKilby Labs の電力管理研究開発部門ディレクターも兼務するJeffrey Morroni氏は、このアーキテクチャの変化について、目の前でパラダイムシフトが起きていると表現。「AIデータセンターは、これまで想像もできなかったレベルの電力限界に挑戦している。数年前までは、48Vインフラストラクチャが次なる課題とみなされていたが、今後を考えると、将来のAIコンピューティングの需要を支えるためには800V高電圧DCアーキテクチャを実現する必要がある。TIの電力変換における専門技術と、NVIDIAのAIに関する専門性を組み合わせることで、前例のない開発を進めていく」と協業の意味を説明しており、この新たな電力アーキテクチャが、次世代のAIデータセンターにおいて、より高い拡張性と信頼性を可能にすることを強調している。
なお、次世代AIサーバラックに向けた800V電力供給アーキテクチャの開発については、独Infineon TechnologiesもNVIDIAとの協業を発表している。