キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は5月21日、社員食堂の精算を画像解析技術を利用した食器認識AIエンジンを開発し、コスト削減と運用の負荷軽減を支援する「社員食堂自動精算サービス」の提供を7月下旬から開始すると発表した。

2030年までに全国の社員食堂の3割に新サービスを導入

日本国内には約5000カ所の社員食堂があり、運営の人手不足に対応した自動で食器を認識して精算するシステムが食堂で導入されている。

主流は食器の裏に貼り付けたRFIDタグを用いた精算システムだが、RFIDに対応した食器以外は利用できないため、料理や季節に応じた多様な食器を使用することが難しいほか、定期的なメンテナンスが発生している。

こうした課題に対し、同社は画像解析技術を活用した食器認識AIエンジンを開発し、コスト削減と運用の負荷軽減を支援する社員食堂自動精算サービスの提供を開始。

新サービスのAIエンジンは、キヤノンが製品開発で培ってきたAI認識・画像解析技術とネットワークカメラの撮影ノウハウを活用し、社員食堂の速やかな自動精算が可能。トレー上の食器画像を解析し、食器の種類を判別するとともに、食器以外の物体を認識した場合でも排除することでサービス品質を担保する。

また、画像解析方式のため、RFID対応の食器だけでなく通常の食器を使用することも可能で、多様な食器の使用を実現するほか、定期的な食器のメンテナンス作業が不要なため運用負荷も軽減するという。

  • 「社員食堂自動精算サービス」の概要

    「社員食堂自動精算サービス」の概要

食堂で一般的に使用されている多種多様な食器を学習させた本食器認識AIエンジンは、国内キヤノングループの社員食堂44カ所での検証を重ね、精度の高い食器識別を行い、食器コストを85%削減。現在もキヤノンをはじめ、グループ社員が同技術が搭載された食堂精算サービスを毎日利用している。

キヤノンMJはこれまで、映像とAIを掛け合わせることで、業種、業務に合わせたソリューションを提供し、映像DXシリーズとして業務プロセスの変革を支援してきた。今後、食器認識AIエンジンの技術向上を図り、新サービスを2030年までに全国の社員食堂の3割に導入を計画。

さらに、飲食店などの他分野へ展開することに加え、食後の画像データを精算だけでなく、食と健康情報の分析につなげることで社会全体の健康経営の実現に貢献していく考えだ。