積層型発光層の各層への最適な材料設計により発光効率と長寿命化を達成

出光興産は5月19日、蛍光型青色材料を用いた有機EL素子に対して、積層型発光層素子の詳細解析を行った結果、世界最高レベルの発光効率と長寿命化を達成したことを確認したと発表した。

積層型発光層素子は、蛍光型素子の発光過程のうち、電荷の再結合とTTF(Triplet-Triplet Fusion:三重項-三重項融合)を起こす領域を分離させた素子であり、機能を分離することで発光ロスを抑え、発光効率の向上と長寿命化の両立を可能とする技術とされる。

有機ELディスプレイに用いられる赤、緑、青の発光素子のうち、青色発光素子はそうした蛍光型素子のままで、発光効率と長寿命化が求められてきた。同社は、今回、積層型発光層の独自の機能分離発光に着目し、そのメカニズムの詳細解析を実施。各層に最適な材料設計をすることで、現在実用化されているトップエミッションデバイスにおいて、さらなる発光効率の向上と長寿命化を達成することに成功したとする。

  • 積層型発光層素子の仕組み

    積層型発光層素子の仕組み (出所:出光興産)

「Display Week 2025」の最優秀論文賞を受賞

具体的な性能としては、初期の明るさが5%減少するまでの連続点灯時間であるLT95で200時間以上(電流密度50mA/cm2の駆動条件の結果)、効率は350(Cd/A/CIE-y)(電流密度10mA/cm2の駆動条件の結果)、色度は(0.14, 0.042)(CIE1931 色度座標)としており、単層発光層と比較して20%の消費電力削減を実現したともしている。

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