次世代半導体の配線プロセスで必要となるモリブデン
Lam Research(ラムリサーチ)は5月14日、従来の配線間ビアホールやコンタクトホール向けに用いられてきたタングステンに代わってモリブデンを配線材料に適用できるALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)装置「ALTUS Halo」を発表した。それに併せて、同社の日本法人オフィスにて技術概要の説明が行われた。
半導体の配線材料として銅(Cu)やアルミ(Al)が長く用いられてきたがトランジスタと接する電極(コンタクト)についてはタングステン(W)が長く用いられてきた。しかし、プロセスの微細化が進むとタングステンが急激に電気抵抗を上昇し、結果としてコンタクト抵抗が悪化し、素子の性能低下を招くという課題を抱えていた。
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タングステンの寸法の変化と抵抗の変化の関係性。グラフは左に行くほど微細化が進む形で、ある部分を超えて微細化が進むと急激に抵抗が上昇していくことがわかる (提供:Lam Research、以下のスライドすべて同様)
ALTUS Haloは、そうしたタングステンを微細化しても抵抗率が低いモリブデンに変更することを可能としたALD。また、モリブデンはタングステンで必要となっていたバリア層を不要にできるという特長も有しており、こうした特性を持つモリブデンを配線工程で活用することで、タングステンをはじめとするほかの金属では実現できないような低い抵抗率のスケーリング(微細化)を実現できるようになると同社では説明している。
Lam Researchのコーポレート・バイスプレジデント 兼 ALD/CVDメタル担当ゼネラルマネージャーのカイハン・アシュティアニ氏は、「モリブデンに対する研究は6年ほど前から社内で進めてきており、半導体業界に向けて有望なタングステンソリューションを提供してきたノウハウを進化させることで、モリブデンベースのALDというユニークな装置を実現することができた」と、2001年より投入してきたタングステン向けのALDで培ってきた知見があったからこその技術と説明する。
NAND、DRAM、ロジックすべて利用可能なことを確認
ALTUS Haloは4チャンバ構成で、顧客とのコラボレーションの結果、アプリケーションによるがタングステン比で抵抗率を50%以上改善できることを確認したとしており、アシュティアニ氏は「実際に顧客のプロセスを活用して、モリブデンを採用することによる抵抗率の低減とバリア膜が不要であることが実証された」と、その効果を強調する。