SiC MOSFETやIGBTに対応する絶縁型ゲートドライバを発表

STMicroelectronicsは、さまざまな電力定格のインバータを柔軟に制御でき、ISO 26262 ASIL Dへの認定を可能にする、設定可能な保護機能と豊富な診断機能を備えたSiC MOSFETおよびIGBT向けの車載用ガルバニック絶縁型ゲートドライバ「STGAP4S」を発表した。

  • 車載用ガルバニック絶縁型ゲートドライバ「STGAP4S

    車載用ガルバニック絶縁型ゲートドライバ「STGAP4S」パッケージ外観 (提供:STMicroelectronics)

同製品は、A/Dコンバータ(ADC)と完全に保護されたフライバックコントローラを内蔵しており、拡張性に優れたEVパワートレインの設計に対応するゲートドライバ。高い柔軟性を有する出力回路により、高電圧パワーステージに外付けMOSFETのプッシュプル・バッファを介して、ゲート駆動電流を拡張することができるため、電力定格が異なるインバータを制御でき、複数のパワースイッチを並列使用する高出力設計にも対応する可能。最大数十Aのゲート駆動電流を小型のパワーMOSFETで生成可能で、最大1200Vの動作電圧に対応するとしている。

また、このフライバックコントローラをオプションとして使用すると、正および負のゲート駆動に必要な高電圧回路側の電源を生成して、SiC MOSFETの高効率・高速スイッチングを可能とし、このガルバニック絶縁により、低電圧回路と高電圧回路間に6.4kVの絶縁を実現するという。

ISO 26262 ASIL Dへの認定が可能

さらに、搭載されている先進的な診断機能により、安全性を最重視するアプリケーション向けのISO 26262安全性レベルD(ASIL D)までのシステム承認を簡略化することが可能。診断機能には、接続の完全性やゲート駆動電圧、内部回路の正常な動作(DESAT検出、過電流検出、デフォルト・メカニズムなど)を検証するセルフチェックが含まれており、ホスト・システムは同製品のSPIポートから診断ステータス・レジスタを読み取ることができるほか、2つの診断ピンでハードウェアで検出可能な故障ステータスを示すことが可能だという。

このほか、保護機能としてアクティブ・ミラー・クランプや低電圧/過電圧によるロックアウト(UVLO、OVLO)、DESAT/過電流/過熱検出などを備えており、厳格な信頼性要件を満たす堅牢かつ強固な設計を実現できるほか、保護しきい値、デッドタイム、デグリッチ・フィルタなど、SPIを介してプログラムされる設定可能なパラメータを多数備えているため、柔軟な設計が可能だと同社では説明している。

なお、同製品はすでにワイドボディのSO-36Wデュアルインライン・パッケージで量産出荷中で、単価は1000個購入時に約4.66ドル。2つのSTGAP4Sドライバが搭載された評価ボード「EVALSTGAP4S」も入手可能となっており、ドライバの機能をハーフブリッジのアプリケーションで評価することができるほか、複数のボードを接続して、三相インバータなどの複雑なトポロジ(回路構成)も評価することが可能だという。