Alteraは4月1日(米国時間)、最大32GBのHBM2Eを内蔵したことで高メモリ帯域幅を要求するアプリケーションでの利用が可能なFPGA「Agilex 7 Mシリーズ」の量産出荷を開始したことを発表した。
Intel 7を採用したFPGA
同シリーズはIntel 7を採用して開発されたもので、「AGM032」と「AGM039」の2製品が用意されている。
Intelの3D SiP技術を採用したマルチダイ構成で、FPGAファブリックにEMIBで各種タイルが接続される形式となっている。Mシリーズではネットワーキング/通信用タイルとしてFタイル(別にEタイルが存在)、プロセッサ接続用タイルとしてRタイル(別にPタイルが存在)が採用されている模様で、FタイルはPCIe Gen4×16や400GbE MACのハードIPを搭載しているほか、最大116Gbpsで動作するトランシーバも搭載。一方のRタイルはPCIe Gen5×16やCompute Express Link(CXL) 2.0などのハートIPを搭載している。これらはパッケージオプションによって構成が変化し、HBM非搭載品では、Fタイル×3/Rタイル×1もしくはFタイル×4、HBM搭載品ではFタイル×3/Rタイル×1/HBM、もしくはFタイル×4/HBMという構成となる。
最大1TBpsのメモリ帯域幅を実現するNoCを搭載
また、パッケージ内のHBM2Eと強化されたDDR5/LPDDR5メモリ・コントローラを使用して、HBM2Eで最大820GBpsのピークメモリ帯域幅を提供することに加え、DDR5/LPDDR5で最大179GBpsをサポート。合計で最大1TBpsというメモリ帯域幅を実現するメモリ・ネットワーク・オン・チップ(NoC)インタフェースを備えているとするほか、第2世代のHyperflexアーキテクチャにより、競合の7nmプロセス採用FPGAと比較して、ワット当たりのファブリック性能が2倍以上向上しているともする。
324万以上のLEを搭載
さらに、ハードウェアの機能としてAGM032は324万5000LE、9375のDSPブロック、最大344Mビット組み込みメモリ、最大768ユーザーI/Oとしているほか、AGM039では385万1520LE、1万2300DSPブロック、最大410Mビット組み込みメモリ、最大720ユーザーI/Oとしている。加えて、AES-256/SHA-256、ECDSA 256/384、Physically Unclonebale Function(PUF)といったセキュリティ関連の機能も搭載されているほか、SoC FPGAではCPUにArm Cortex-A53×4(最大動作周波数1.41GHz)が採用されている。
なお、同社では同シリーズの高帯域幅ならびに93%以上という帯域幅利用率を活用することで、Llama3ファミリやMOEベースの推論モデルなどのLLM推論ワークロードを実行する際、主要なGPUと比較して1ドルあたり3.5倍の性能向上と3.5倍の電力効率を実現することが可能だと説明しているほか、次世代の800GbEテスト機器の開発をはじめとするギガビット・イーサネット・テクノロジーの進化をサポートできることから、AI、データセンター、次世代ファイアウォール、5G通信インフラ、8K放送機器などの高い性能とメモリ帯域幅が要求されるアプリケーションでの活用に最適だと説明している。