アクティブサスペンションシステムの進化と課題
世界最大級のパワーリレーメーカーであるHongfa は、およそ30年にわたり自動車市場向けの技術開発を牽引してきました。現在は自動車の電動化に注力し、次世代の高性能アクティブサスペンションシステムの設計を手掛けています。
アクティブサスペンションシステムでは、センサー群と電動アクチュエータと高度なソフトウェアのネットワークによって、リアルタイムで車両のサスペンションが制御されます。これにより、操縦性や乗り心地、安全性が向上し、ロードノイズが減少します。初期のアクティブサスペンションは、約800ポンド(約360kg)もの重量を増やす必要がありました。重量が増え、回生電力量が限られていたために、このシステムは長年にわたりあまり使われませんでした。
高電力密度のDC-DCコンバータと48Vバスにより小型化と性能向上を実現
12Vバスは、アクティブサスペンションの給電には明らかに能力が不足します。800Vの高電圧バッテリーの普及が進む今、12Vバスを48Vアーキテクチャによって置き換えることは簡単になり、電力を増やし効率を上げ、より細く軽いケーブルを使うことが可能になりました。この48Vアーキテクチャは、800Vから48Vに電圧変換するVicorの電圧変換比固定 DC-DCコンバータBCM6135とスムーズに組合わせることができます。BCM6135は双方向変換ができ、毎秒800万アンペアの高速過渡応答性能を備え、双方向の対称的な電力供給が可能です。コンパクトで薄型の独自のパッケージングにより、放熱性能に優れており、設置面積と重量を減らすことができます。双方向変換に対応した電源モジュールは、ショックアブソーバを押し下げるのに必要な4~6kWの電力を供給できるだけでなく、ショックアブソーバがニュートラルの位置に戻る際、同量の電力を瞬時に回生してバッテリーに戻すことができます。ディスクリートで構成する電源では、このような瞬時のエネルギー回生は困難です。
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Hongfaのアクティブサスペンションシステム(電源システム仕様:HF3661 800V-48V DC-DCシステム)は液冷式で、重量2.6kg、サイズ197mm×201mm×71mmと、市場で最も小型な製品です。
Hongfaのソリューションは、Vicorの高電力密度電源モジュールを使い、各アクチュエータ用にコンパクト(197 x 201 x 71mm)な5kW電源を構築しています。このシステムは、瞬時に6kWまでのピーク電力を扱うことができ、双方向の変換動作が可能です。VicorのBCM6135モジュールを2つ並列接続して使うことで、コンバータの設計を大幅に簡素化することができ、何百ものディスクリート部品は必要なくなります。
BCM6135は、ピーク電力3.5kW、電圧変換比率K=1/16固定のバスコンバータで、トラクションバッテリーの800Vを48Vに変換します。このコンバータは800Vバッテリーシステム用として最適に作られており、動作する電圧範囲は420V〜920Vです。液冷式で、最大100アンペアの電流を97.3%の効率で供給できます。システムの筐体容積は1.8リットル未満、重量は2.6kgと、他のシステムに比べて大幅な小型・軽量化を実現しています。
電力供給ネットワーク(PDN)
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Vicorの電圧変換比固定BCM6135(800Vから48Vに変換するDC-DCバスコンバータ)を4つ使用し、高電圧を48Vに変換して各ホイールに電力を供給します。BCM6135は双方向変換が可能で、DC-DCコンバータの中で過渡応答性能は最速クラスです。電力伝達の方向を切り替える速度が対称なので、DC-DCコンバータに直接接続することで、最適なエネルギー回生が実現します。
BCM 中間バスコンバータ
Vicor Corporationについて
Vicorは、高性能なモジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う米国(本社:マサチューセッツ州アンドーバー)の電源専業メーカーです。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、オートモーティブ、通信ネットワーク、産業機器、ロボティクス、鉄道、航空防衛アプリケーションなどへ向けて、広く事業を展開しています。
日本法人のVicor株式会社(Vicor KK)は2017年に設立され、電源コンポーネントの販売・技術サポートを行っています。詳しくは、こちらをご参照ください。
Vicor、BCM®は、Vicor Corporationの登録商標です。
DCM™ は、Vicor Corporationの商標です。
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