三菱重工機械システムは、建築研究所(茨城・つくば市)が備えている、地震の揺れを再現する振動台の更新工事を完了して引き渡したと1月31日に発表。従来の油圧式に代わり、サーボモーターを使った電動式を新たに採用し、消費電力は従来比約90%削減を見込む。搭載する実験模型の大型化・質量増にも対応する。

  • 建築研究所の振動台

今回更新した振動台は、建築物の実験模型を鋼製のテーブル上に設置し、実際に観測された地震の揺れを発生させることで建築物の耐震安全性を評価する試験装置。

計10台のサーボモーターの回転をボールネジで水平一方向の運動に変換し、実験模型に実際の地震と同じ揺れを与えられるとする。また、実験模型を搭載する鋼製テーブルを従来の3m×4mから3.5m×4.5mに大型化し、搭載可能な実験模型の質量も20トンから30トンに増強。移動ストローク伸長の最大値は±150mmから±250mmに強化し、最大速度も±100cm/秒から±120cm/秒へとスピードアップさせた。

  • 振動台下部のサーボモーターとボールネジ機構

従来の地震振動台は油圧サーボ方式が一般的だったが、交流で動くサーボモーターの出力が増大し、より大きな負荷に対応できるようになったことから、中小型の地震振動台については電動式で実現可能になったとのこと。電動式にしたことで、油圧設備とそれを動かす動力源が不要になり、約9割の消費電力削減を見込むほか、油漏れリスクなどがないクリーンな環境も構築できたとしている。

建築研は、住宅・建築・都市計画に関わる技術の調査・試験・研究開発や、地震工学に関する研修などに取り組んでいる。ここで研究成果は、建築物の耐震設計や技術基準の策定に役立てられる。