今まさに、“宇宙業界”が盛り上がりを見せているのをご存知の方は、きっと少なくないだろう。かつては世界各国の政府が主体となって、国家プロジェクトとして開発競争を進めてきた、宇宙。しかし今では、莫大な資金を持つ投資家や、宇宙の課題を解決するアイデアを持ったスタートアップ企業が数多く集まり、さまざまな角度からビジネス面でも競争を進めている。

このように、技術開発からビジネス、エンターテインメント領域までを含む大きな産業として発展・拡大する宇宙業界。それに伴って、そんな一大産業をあらゆる形で支える“宇宙のおしごと”もどんどん生まれている最中だ。

今後もさらなる拡大が予想される宇宙産業の職業について、子どもたちにも読みやすい形で1冊にわかりやすくまとまった書籍が、1月29日に発売された。その名も『未来が楽しみになる 宇宙のおしごと図鑑』。宇宙開発・天文分野で30年以上も取材・執筆をつづける“宇宙ライター”の林公代さんが著したこの本には、いったいどんな宇宙のおしごとが集まっているのだろうか?

  • 『未来が楽しみになる 宇宙のおしごと図鑑』

    『未来が楽しみになる 宇宙のおしごと図鑑』が1月29日に発売された(出所:KADOKAWA)

多岐にわたる宇宙のおしごとを4章に分けて紹介

今回発売された1冊では、多岐にわたる宇宙のおしごとを大きく以下の4つに分類して紹介している。ちなみに巻頭では、いくつかの質問を通して自分の得意かもしれない宇宙のおしごとを知ることができる「宇宙のおしごと診断チャート」も楽しめる。

“宇宙のおしごと図鑑”各章の構成

  • 1章:宇宙開発のおしごと
  • 2章:天文学のおしごと
  • 3章:宇宙ビジネスのおしごと
  • 4章:月・火星のおしごと

1章で紹介されているのは、宇宙開発の花形ともいえる宇宙飛行士や、宇宙を旅する機械を作るロケット・人工衛星エンジニアなど、まさに宇宙空間を舞台に活躍する職業。宇宙飛行士の訓練を行うインストラクタや、宇宙服のデザイナーなど、直接宇宙には向かわないものの重要な役割を担うおしごとにも注目だ。続く2章では、地上から宇宙の謎を解明する天文学のおしごとが主役。天文学者をはじめ、星空の魅力を多くの人に伝える職業としてプラネタリアンも取り上げられている。

そして3章でフォーカスが当たるのは、宇宙食を作るシェフや宇宙ビジネスの弁護士「スペースロイヤー」など、一般的な職業と宇宙を掛け合わせた新しいおしごとの数々。最後の4章では、月や火星など“将来人間が暮らすかもしれない天体”で必要となるおしごとが取り上げられ、まだフィクションのような宇宙での生活を現実にするために必要なたくさんの職業を考えることができる。

  • 「スペースロイヤー」とは?

    宇宙の弁護士「スペースロイヤー」とはどんなおしごと?(出所:KADOKAWA)

  • 月や火星で暮らす将来のイメージは?

    月や火星で暮らす将来をイラストと共に考えてみよう(出所:KADOKAWA)

14人もの宇宙関係者への貴重なインタビューも

またこの書籍が持つ大きな特徴のひとつが、「実際に活躍している宇宙関係者の声」がたっぷりと掲載されていること。著者の林さんは、今回の執筆にあたり新たに20人以上の宇宙業界関係者にインタビューを行い、30人以上のコメントが掲載されているという。

取材対象の中には、宇宙飛行士として実際に宇宙に滞在した日本宇宙少年団(YAC) 理事長の山崎直子さんや、国内のさまざまな宇宙スタートアップで開発競争の最前線に立つキープレイヤー、小惑星リュウグウから地球へとサンプルを持ち帰った探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーを務めた津田雄一さんの名も。また“ロケットアイドルVTuber”として活動する宇推くりあさんへのインタビューでは、宇宙のおしごとを目指すきっかけとなった出来事も語られている。

  • キャプション

    さまざまな宇宙業界プレイヤーからのコメントが掲載されている(出所:KADOKAWA)

林さんによると、インタビューしたたくさんの宇宙関係者は、誰もが熱い気持ちにあふれていたとのこと。産業全体を盛り上げていくため、宇宙に興味を持つ新世代がどんどん増えてほしいという想いを目の当たりにして、その情熱を1冊に収めることにとても苦労したという。

すでに多方面に広がっている宇宙産業には、多くの人々がカッコいいと憧れる仕事のほかにも、持続可能な産業にするために必要不可欠なさまざまな職業が存在する。今まさに進歩が続いている最中の産業について、求められる役割やビジネスを楽しみながら知ることのできる1冊。お子さんに、あるいは自ら宇宙への興味の1歩目として、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか?

発売記念対談イベントも開催予定

なお『未来が楽しみになる 宇宙のおしごと図鑑』発売を記念して、2月22日には、“宇宙タレント”の黒田有彩さんと著者の林公代さんによる対談イベントも開催予定。2040年ごろの月面や宇宙ホテルでのくらしについて一緒に考え、出演者への質問コーナーも予定されている。

  • 対談イベントが2月22日に開催される

    対談イベント「未来の宇宙のくらし in 宇宙の店」が2月22日に開催される(出所:KADOKAWA)

イベントへの参加は予約ページからの申し込みが必要で、参加費は無料。またYouTubeチャンネル「KADOKAWA児童図書チャンネル」でのライブ配信も行われる予定だ。