富士キメラ総研が発行した「2024 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」によると、半導体実装関連部材・製造装置市場は2024年の前年比11.6%増の13兆323億円(見込み)から、2030年には2023年比58.5%増の18兆4984億円にまで拡大すると予測されるという。
半導体関連市場は、汎用サーバのほか、通信機器や民生機器向け需要の回復が遅く、好調だった2022年並みの市場に戻るのは2025年から2026年にかけてとみられるが、生成AIの需要増に伴うAIサーバを中心とした先端パッケージ関連は急伸しており、関連する部品・材料も好調を維持することが予測される。
調査対象は、半導体パッケージング部材のほか、半導体後工程関連材料、プリント配線板、基板材料、放熱材料、実装関連装置などでカテゴリ別で見ると、「後工程関連材料」がFO-WLP/PLPやFI-WLP向け再配線材料需要が回復しつつあるほか、今後はインターポーザ向けも伸びることが期待される。また、モールドアンダーフィルや1次実装用アンダーフィルも長期的には需要が見込まれる。
「プリント配線板」は、AIサーバ向けリジット基板(高多層)やFC-BGA基板の伸びが大きい。特にこのFC-BGA基板は、自動車やTVなどの民生向けICやローエンドノートPC向けCPUで8層以下、ゲーム機やPC向けCPUやGPUで10から14層、サーバ用やハイエンド通信機器向けで16層以上の製品が採用され、2025年以降は汎用サーバの需要回復、AIサーバの需要増加で高単価なサーバ向け、AI半導体向け高層品需要の高止まり、車載関連の回復などもあり、市場規模は2022年を突破、2029年には2兆円を超すことが期待される。
「放熱関連材料」は、車載電池向けを中心とした放熱ギャップフィラーが今後も市場をけん引するとみられるほか、窒化ホウ素フィラー(凝集体)やシンタリングペースト(加圧)などの伸びも予想される。「基板関連」ではサーバCPUやAIアクセラレータのパッケージサイズの大型化に伴い、低反りのほか、低誘電特性で高速伝送を可能とする600mm角インターポーザやガラスコアなどの開発が進んでいる。特に樹脂を含浸させたガラスファブリックシート(プリプレグ)の両面に銅箔をラミネートしたガラス基材銅張積層板(CCL)は、2027年から2028年にはPCを中心とした民生IT機器向けの基板材料にも低誘電品の採用が進み、2029年には1兆円を超えるとみられる。
「実装関連装置」は、2025年まで汎用半導体や電子部品関連向けの需要が低調とみられるが、先端パッケージ向けハイエンド装置の需要は増えており、2024年、2025年と伸長するとみられる。汎用基板向け装置は、米中貿易摩擦への対応で車載・通信機器向け基板関連メーカーが東南アジアでの工場新設を進めており、需要喚起が期待される。
各部品・材料・装置は、自動車や民生機器、AIサーバ、汎用サーバなどの各種電子機器に使用され、市場はそれら業界の動向に左右されるが、今後も多くの電子機器市場の成長が期待されるため市場の拡大が予想される。特に放熱性と耐熱性に優れ、はんだ代替接合材として用いられるシンタリングペーストは、車載用途が全体出荷数量の過半数を占めており、2025年から2027年にかけて日系自動車メーカーで加圧タイプの採用開始が予想され、2028年以降の本格採用と量産開始により市場の拡大が期待されるという。