12月11日から13日まで東京ビッグサイトでは、半導体産業における製造技術や装置、材料をはじめ、さまざまなアプリケーションまでをカバーしたエレクトロニクス製造の国際展示会「SEMICON Japan 2024」が開催されている。
同展示会に出展しているディスコは、同社が提供する数々の半導体製造装置が並ぶブースを展開。新製品として、独自のインゴットスライス手法「KABRA」を用いたGaN(窒化ガリウム)ウェハ生産用レーザソー「DKL7640」を紹介している。
GaNウェハ製造効率化へ「KABRA」プロセスを適用
将来のカーボンニュートラル実現に向けてキーデバイスとして注目が高まる、パワー半導体。その次世代材料として期待されている化合物の1つに、GaNがある。その優れたスイッチング性能や電力音質の少なさなどから、同材料を用いたパワーデバイスの開発は徐々に進展しているものの、材料としてのコストの高さは以前ネックとなっている。
材料コストの高さの一因として挙げられるのが、ウェハ製造の難しさである。GaNは結晶成長に時間を要することから、インゴットが小径かつ薄いなどの課題があり、またそのインゴットをスライスする際、従来より広く用いられているワイヤソーでは加工に長い時間がかかるうえ、加工時および切断面に生じたうねりのラップ研削時に多くのロスが生じるため、ウェハ製造コストの効率化が求められていた。
今回公開された新製品では、ディスコ独自のインゴットスライス手法「KABRA」を採用。このプロセスでは、レーザの連続的な照射により分離層(KABRA層)を任意の深さに形成し、その層を起点に剥離することでウェハのスライスを行うといい、材料ロスの削減およびプロセス所要時間の短縮が期待されるという。またワイヤソーでは必要だったラップ研削プロセスが不要となるため、さらなる作業効率化にも貢献。1インゴットあたりのウェハ取り枚数と、1時間あたりのウェハ生産枚数の両面で、従来プロセスに比べ大きな性能向上が可能になったとする。
なおディスコ担当者によると、DKL7640の開発にあたり、KABRAプロセスもGaNインゴットのスライスに最適化したチューニングを行ってきたとのこと。また新製品は将来のデバイス大口径化に備え、最大8インチのウェハサイズに対応可能だといい、2025年秋ごろの出荷開始に備えテストカットを受け付けているとしている。
数々の新製品を一挙に展示するディスコブース
またディスコは、ステルスダイシングにおけるウェハ分割の効率化を実現するローラーブレーキング機構搭載フルオートダイセパレータ「DDS2030」、半導体製造効率化に向けた新たな方策として期待されるPLP(Panel Level Package)の生産性向上を見据えた330mm角対応ダイシングソー「DFD6370」、そしてグラインダなどで求められる大流量の切削水供給を可能にする純水リサイクル装置「DWR1730」など、数々の新製品をブースにて展示している。
また併せて、次世代半導体開発の鍵になるとされるGaNおよびダイヤモンドの基板なども展示しており、顧客ニーズの探索を重ねて新たな装置の開発にも活かしていくとのこと。今後も同社が強みとする「Kiru・Kezuru・Migaku」の技術を向上させ、半導体産業の成長に寄与していくとしている。