NXP SemiconductorsとTSMC傘下で台湾3位のファウンドリであるVanguard International Semiconductor(VIS)は、2024年9月に設立した合弁会社Vision Power Semiconductor Manufacturing Company(VSMC)が12月4日、シンガポールのタンピネスで新たな300mm対応半導体工場の起工式を執り行ったことを発表した。
このVSMCの新工場の投資総額は78億ドルで初期生産は2027年に開始される予定。第1フェーズの立ち上げが成功した時点で、第2フェーズの検討も進められるとのことで、2029年には月産5万5000枚のウェハ生産を見込む。製造プロセスは130nm~40nmで、自動車、産業機器、コンシューマ、モバイルなどにおける電力制御ICなどがターゲットとされる。
工場内は完全自動化されており、オートメーション・マテリアル・ハンドリング・システム(AMHS)とAIを活用した包括的な品質管理がなされるため、従来の生産手法に比べて生産速度、精度、生産量、品質の向上などが図られ、競争力のあるサービスの提供が可能になるという。また、持続可能性に対してもシンガポールのグリーンマーク基準に従うスマートファブとして建設され、エネルギー効率の高い冷却および照明システムの採用や、高度なプロセス水のリサイクル、環境にやさしい材料の使用などが進められることとなるほか、自然光の活用や共用スペースの充実、緑化の推進など、グリーンオフィス設計も採用されるという。
VSMCおよびVIS会長のLeuh Fang氏は、「我々にとって初の300mm工場をシンガポールに建設できることを嬉しく思う。この工場はVSMCの基本的な経営理念を体現するとともに、ICファウンドリ専門サービスを提供し、今後の発展の基盤となる」と新工場の役割を説明している。
NXPは中国での半導体サプライチェーン維持にも注力
また、NXPはシンガポールでのVSMC新工場建設を推進する一方、中国国内における現地化されたサプライチェーンを、米国の新たな対中輸出規制を踏まえつつ、維持しようとする取り組みを進めているとBloombergが報じている。
それによると、「NXPは中国国内での製造能力を求める顧客のニーズを満たす方法を積極的に模索している」と、同社の執行副社長であるアンディ・ミカレフ氏の発言として紹介している。
NXPは、自動車およびネットワーク半導体大手で、中国の天津にテスト・パッケージ施設を有しており、2021年には天津に同社のAIおよびIoT向け技術を中国顧客に披露する場として「グローバルAIoTアプリケーションイノベーションセンター」も開設している。また、天津に加え、北京、上海、重慶、蘇州に設計センターが設置されているほか、多くの主要都市に営業拠点を構えている。
欧州勢としてはSTMicroelectronicsも2023年に三安光電と協力して重慶に200mm SiCパワーデバイス製造の合弁会社を立ち上げている。この新工場は2025年第4四半期に生産を開始し、2028年のフル稼働を目指しているという。こうした一連の動きからは、米中が激しく半導体を中心とした牽制をしあう中、半導体の最大市場である中国での事業を確保しようとする欧州勢のしたたかさがうかがえる。

