東京大学は、タンパク質と合成蛍光分子を適切に組み合わせることで、カリウムイオンに対する高性能な蛍光センサーを開発したと11月30日に発表。従来よりも明るくて使いやすい性質を持ち、細胞内のさまざまな場所で適用できるため、医薬品候補化合物の評価などへの応用が期待されるとしている。
カリウムイオン(K+)は細胞内で最も豊富に存在する金属イオンで、生物の中で不可欠な役割を果たしている。その役割を探るためにいくつかの蛍光センサーが作られてきたが、細胞や組織中で局在化でき、イオン選択性が高く、長波長領域で高い蛍光応答を示すセンサーは、これまで報告がなかったという。
今回の研究では、HaloTagタンパク質(人工タンパク質)と、細菌由来のK+結合タンパク質(Kbp)、低分子色素を組み合わせた、化学遺伝学K+センサー「HaloKbp1シリーズ」を開発。赤色から遠赤色領域での明るさや、大きな蛍光強度変化、およびK+生体内濃度に対応したさまざまな親和性を特徴としており、研究チームはこれらのセンサーが、細胞内でのK+濃度変化を可視化できることを実証したとのこと。