市場調査会社TrendForceによると、HBMにおけるハイブリッドボンディングなどの先端パッケージング技術に注目が集まっているという。すでにあるHBMメーカーでは、HBM4 16hi(16層)製品にハイブリッドボンディングを採用するかどうかの検討を進めているほか、HBM5 20hiで同技術を実装する計画も確認したとTrendForceでは指摘している。
ハイブリッドボンディングは、より広く使用されているマイクロバンピングと比較して、バンプが不要となるため、多層化をしやすく、反りに対処しやすい厚めのチップを搭載できるため、データ転送の高速化と放熱性の向上が期待できるという。
TrendForceでは、HBMメーカー各社がHBM3e 12hiおよびHBM4 12hiには従来同様Advanced MR-MUFならびにTC-NCF積層技術を適用すると見ているが、HBM4 16hi/HBM4e 16hiでは、ハイブリッドボンディングがマイクロバンピングと比べて大きな利点がなく、一方でパーティクル汚染制御などの技術的な課題やウェハ同士の積み重ねコストなどから、投資負担が高まる可能性があるため、どちらにするかの明確な判断はまだ出ていないとする。
もし、ハイブリッドボンディングが採用された場合は、将来の次世代HBMでの適用に向けた技術の早期習得が目的として考えられるとTrendForceでは指摘しており、こうした動きによりHBMのビジネスモデルに変化が生じる可能性があるとしている。これは、ベースダイの設計は主にロジックメーカー側が担当しているが、ベースダイとロジック両方を提供するTSMCが双方のダイスタッキングを担う可能性があり、そうなればHBMを取り巻くビジネス環境が一変する可能性があるためだとしている。
SK hynixがHBM3e 16hiを開発
SK hynixは初旬に韓国で開催した「SK AI Summit 2024」にて、キューブあたりメモリ容量が48GBのHBM3e 16hiを開発し、2025年上半期からサンプル出荷を開始する計画を明らかにしたという。
HBMサプライヤは従来、各世代で2種類のスタックオプション(HBM3eでは8hiと12hi、HBM4では12hiと16hiなど)を用意してきた。各社は2025年後半にHBM4 12hiを発売する予定だが、SK hynixのHBM3e 16hiというオプションは、メモリ容量を増やしたいというニーズに応えるものになると見られるという。
背景には、TSMCのCoWoS-Lパッケージング技術が、2026 年から2027年にかけてより大きなパッケージサイズに対応する見込みで、これによりHBMの積層数増が可能になるが、HBM4 16hiの技術課題の解決の前にHBM3e 16hiで大容量化の道筋を付けたいという思惑がある可能性があるという。パッケージあたり最大8つのHBMスタックを備えたHBM3e 16hiでは、システムあたり最大384GBの容量を提供できるようになるためだという(HBM3eからHBM4への移行ではI/O数が2倍に、ダイサイズも大きくなるが、ダイあたりの容量は24GBで据え置き)。
TrendForceによると、このHBM3e 16hiはAdvanced MR-MUFを採用する模様で、これにより将来のHBM4 16hi生産へのスムーズな移行を目指す模様だとするほか、ハイブリッドボンディングを採用した16hiについても将来のリリースを検討している模様だともしている。