TrendForceによると、2024年のDRAM市場は第3四半期まで在庫削減による価格回復が進んできたが、第4四半期には価格上昇の勢いが弱まる可能性があるという。

同社市場調査担当シニアバイスプレジデントのAvril Wu氏は、一部のDRAMサプライヤが生産能力の拡大を検討しており、この動きにより2025年のDRAMビット総出荷数量は前年比25%増となることが見込まれるとしている。

TrendForceでは、DRAM市場の製品カテゴリとしてPC、サーバ、モバイル、グラフィックス、コンシューマDRAMで区別していたが、HBMが新カテゴリとして追加されるという。また地政学的には、中国勢が急速に生産能力を拡大させており、2025年のDRAMビット出荷数量見込みから中国勢分を除くと21%増となるとしている。

  • 2024年および2025年のDRAMビット出荷数量予測

    2024年および2025年のDRAMビット出荷数量予測 (出所:TrendForce)

またWu氏は、2025年は3大サプライヤの中でもHBMで強みを見せるSK hynixがもっとも生産能力を拡大させるとみており、HBMを除いた2025年のビット出荷数量は20%増と予想され、中国勢とHBMによる伸びを除くと、3大DRAMサプライヤのビット出荷数量は15%ほどの増加に留まると予測されるとしている。

なおTrendForceでは、2025年はDRAMビット出荷数量は伸びるものの、需要が低迷すれば価格下落圧力が強まる可能性があると指摘しているほか、地政学的観点から、中国のDRAM供給達成率は他の地域を上回ると予想している。中でも主に旧プロセスのLPDDR4xとDDR4に重点が置かれており、他のDRAM製品と比べても価格下落圧力が強まると予想されるほか、HBMについては、HBM3eを中心に逼迫が続く予想としている。

韓国勢がレガシーDRAMを減産へ

韓国メディアのThe Korea Economic Daily(Global Edition)によると、Samsung ElectronicsとSK hynixがCXMTなど中国勢によるDRAM増産を踏まえ、旧プロセスを用いたレガシーDRAMの減産に踏み切った模様である。

それによるとCXMTは、DDR4やLPDDR4Xなどの旧プロセス製品の増産を進めており、そうした旧型製品の価格に圧力がかかっているという。中でもCXMTは、DRAM月産能力を2020年の4万枚から16万枚に拡大しているが、2024年末までに20万枚/月、2025年末までに30万枚/月に達すると予想されている。

また、韓国半導体業界筋によると、SK hynixは最近の投資家向け説明会にて、2024年末までにDDR4 DRAMの生産量を9月の30%、6月の40~20%ほどに削減する計画を示唆したという。Samsungも旧プロセスによるDRAMとNANDの減産計画を示したとするが、2社ともに生成AI向けHBMやエンタープライズSSD(eSSD)などの収益性の高いプレミアム製品に重点を移すことを強調している。

韓国メディアによると、SK hynixはレガシーDRAMの供給過剰に対して中国無錫の旧式DRAMラインの1αnm DRAMラインへの更新を進めているとするほか、NANDについては生産を安定的に維持しながら、中国大連のeSSD工場をほぼフル稼働まで引き上げているという。一方のSamsungは、2025年にHBM3eの販売を拡大するほか、サーバ向けに128GB以上のDDR5モジュールや、モバイル、PC、サーバへのLPDDR5Xなどハイエンド製品の割合を増やす計画だという。