Samsung Electronicsが10月31日、2024年第3四半期の決算概要の詳細を発表した。
それによると同四半期の全社売上高は前四半期比7%増の79兆1000億ウォンと過去最高を記録したが、営業利益は半導体事業を担当するデバイスソリューション(DS)部門の一時金引き当ての影響などの影響もあり同12%減の9兆1800億ウォンに留まった。
半導体関連事業の営業利益が大幅減
DS部門の同四半期の概況は、売上高が前四半期比2.5%増、前年同期比78%増の29兆2700億ウォンであったが、営業利益は前四半期比40%減(前年同期は3兆7500億ウォンの赤字)の3兆8600億ウォンとなった。
同社半導体事業の主力であるメモリはデータセンターなどの投資意欲が続いていることから、AIや汎用サーバ向けが堅調に推移した一方、モバイル関連需要は一部顧客で在庫調整があるなど相対的に弱含みとなったとしており、AI/サーバ関連需要への対応促進と並行しつつレガシー製品の在庫削減を進めることで、HBM、DDR5、サーバSSDでの売上増を達成したというが、インセンティブ支給のための一時費用の発生、ウォン高ドル安などの影響から利益が減少する結果となったという。
一方のシステムLSI事業は、売上高はSoCの主力製品が大手顧客の新モデルに採用されるなど出荷が増加したほか、ディスプレイドライバIC(DDI)も主要顧客の新モデルに採用されるなどした結果、微増したものの一時費用の増加もあり減益となったとする。
さらにファウンドリ事業も一時費用の影響から全体的に利益が減少したものの、サブ5nmを中心に受注目標を達成したほか、2nm GAAプロセスの設計キット(PDK)のリリースによる顧客の製品設計の推進が図られたとする。
第4四半期はメモリ堅調、ファウンドリは2nmに注力
第4四半期の半導体事業について同社は、メモリは堅調に推移するとの見通しで、DRAMはDRAMの容量増加に伴う拡販のほか、サーバDDR5の1b-nmへの移行加速、32GビットDDR5ベースの高密度モジュールの販売拡大などを進めるとしている。特にHBM3eを筆頭に、サーバ向け128GB以上のDDR5モジュール、LPDDR5Xなどハイエンド製品の販売拡大を目指すとしている。一方のNANDは第8世代(V8)ベースのPCIe Gen5の拡販、QLCベースの64TBや128TB SSDの量産などを進めるとしている。
システムLSI事業は、SoC「Exynos 2400」の供給が拡大するものの、イメージセンサの需要低迷は継続。DDIはIT向け有機EL向けの拡販に注力するとしている。
そしてファウンドリ事業については、2nm GAA技術のプロセス成熟度向上による顧客獲得を推進するとともに、競争力のある技術と設計インフラの開発を継続することで、ビジネスチャンスの拡大を進めるとしている。
なお、2025年については、メモリ事業はAIサーバに加え、従来型サーバの需要も堅調になると予想しているほか、システムLSIもエッジにおけるAIニーズの高まりへの対応促進に加え、次世代となる2nm採用SoCの準備を進めるとしている。ファウンドリ事業も先端プロセスがけん引役となるため、継続的な歩留まり向上を通じて収益拡大を目指すとともに、2nmの主要顧客確保を進めるほか、HBMのバッファダイの開発を進めることで、AI/HPC分野の新規顧客獲得を進めるとしている。