TSMCは10月17日、2024年第3四半期の決算説明会を開催した。それによると、2024年9月30日に終了した同社の第3四半期の連結売上高(確定値)は前年同期比39.0%増、前四半期比12.8%増の7596億9000万NTドルで過去最高額を更新。純利益も前年同期比54.2%増、前四半期比31.2%増の3252億6000万NTドルとなり、純利益として初めて3000億NTドルの大台を突破した。

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    TSMCの2024年第3四半期決算業績概要 (出所:TSMC、以下すべての図表とも)

2024年通期見通しを上方修正、AI需要は今後数年は続く見通し

同社の魏哲家(C.C.Wei)会長は、同四半期を振り返り、「AI需要がおどろくほど強いが、その需要は少なくとも今後数年は続く」と、AI需要に関して強気な姿勢を見せ、2024年通期の売上高予測を前年比30%増へと2度目の上方修正を行い、少なくとも今後5年間は成長が期待できるとした。

同四半期の売り上げをプロセス別に見ると、3nm(N3)が20%、5nmが32%、7nmが17%と、先端プロセス分野だけで全体の69%を占め、中でも5nm以下だけで過半を占める規模となっている。同社は下半期のAI需要が極めて強いことから、3nmの稼働率がさらに高まる見込みだとしている。

  • TSMCの2024年第3四半期のプロセス別売上高比率

    TSMCの2024年第3四半期のプロセス別売上高比率

また、プラットフォーム別で売上高を見ると、HPC向けが51%、スマートフォン(スマホ)向けが34%と、この2分野だけで全社売り上げの85%を占める状況となっている。前年同期と比べると、HPCが9ポイント上昇、スマホは5ポイント減となっている。

  • TSMCの2024年第3四半期のプラットフォーム別売上高比率

    TSMCの2024年第3四半期のプラットフォーム別売上高比率

国・地域別に売上高を見ると、北米が71%、中国10%、アジア大平洋(日本と中国除く)10%、日本5%、欧州その他3%となっており、北米の圧倒的な割合が目立つ。Wei会長は、日本の工場展開について、「熊本の第1工場は全工程の認定を完了し、量産は2024年第4四半期より開始する。また、熊本第2工場の建設は2025年第1四半期より開始し、消費者、自動車、産業、HPC関連の戦略的顧客をサポートすることを目指し、2027年末までに量産を開始することを目指す」としている。

  • TSMCの2024年第3四半期の国・地域別売上高比率

    TSMCの2024年第3四半期の国・地域別売上高比率

2nm以降も高い需要で生産能力の増強も示唆

同説明会では機関投資家からの質問として2nm(N2)や1.6nm(A16)プロセスがチップレットの普及で需要が減るのではないかという質問が出されたが、それに対してWei会長は、「HPC業界のチップレットニーズは高いが、チップレットが普及したからといって2nmの生産量が減ることはない。N3と比べてもN2は高い需要があり、関心を寄せる顧客も増えている。このためN2はN3より多くの生産能力を準備する必要がある。また、A16はAIサーバ用チップとして魅力的で需要も高いためN2とA16の両方の生産能力の準備を進めている」と答えている。

第4四半期業績も過去最高更新の見通し

なお、第4四半期(10〜12月)の売上高について同社では、前四半期比13%増、前年同期比35%増の261億〜269億ドルとなり、過去最高を更新すると予想している。また、2024年通期の設備投資は300億〜320億ドルで据え置いたが、2025年の設備投資は、まだ発表する段階にはないとしながらも2024年を上回る可能性があるとしている。