2024年10月15日から18日までの4日間、“デジタルイノベーションの総合展”を銘打つ展示会「CEATEC 2024」が幕張メッセを舞台に開催される。25回目という節目を迎えた今回のCEATECでは、数多くの企業や学術・研究機関が出展し、無数の共創の種が生まれることが期待される。
その開幕に先立ち、同イベントを主催する電子情報技術産業協会(JEITA)は記者会見を開催。CEATECのエグゼクティブプロデューサーを務める鹿野清氏から見どころや開催規模について語られるとともに、出展される中で特にイノベーション性が優れる技術に授与される「CEATEC AWARD」の発表が行われた。
出展者数800超 来場する“イノベーター”は10万人の見込み
今回で25周年を迎えるCEATEC 2024は、コンセプトを“Toward Society 5.0”、開催テーマには“Innovation for All”を据え、産業・職種を問わずあらゆる領域の人々にとってのイノベーションが集まる展示会として開催される。また今回は史上初めて、モビリティ関連企業と次世代を担うスタートアップが集い共創を生み出すイベント「Japan Mobility Show Bizweek 2024」との併催が決定。幕張メッセの1~8ホール全体を会場として、さまざまな展示や講演が行われる予定だ。
鹿野氏によると、CEATEC 2024の出展者数は808社・団体に上り、昨年の684社・団体から大きく増加。そのうち、学術機関やスタートアップなどJEITAとして注力する“未来のプレイヤー”の出展者数は188社・団体となり、これは過去最多だとする。
また来場者数については、10万人超えを見込んでいるとのこと。昨年のCEATEC 2023では同じく10万人という目標値を掲げていたものの、実際の登録来場者数は8万9047人と及ばず。しかし鹿野氏は、会場や出展者数の面でも規模が大きくなっていることを鑑みても「この10万人という数値は達成しなくてはいけない」と話し、事前登録者数についても「昨年よりもかなり早いペースで増加している」とする。またInnovation for Allというテーマに絡め、「只の来場者ではなく、すべての人々が期待するイノベーションに関わる人である」という位置づけから来場者ではなく“イノベーター”だと考えているとした。
注目の「CEATEC AWARD」各賞が決定!
また会見では、学術的・技術的・市場性および将来性などの観点から、イノベーション性が高く優れた技術を評価し表彰する「CEATEC AWARD」の受賞作品が発表された。各部門の受賞作品は以下の通りで、CEATEC会期中も多くの関心が集まることが期待される。
総務大臣賞 ViXion「ViXion01S」
総務大臣賞を受賞したのは、ViXionが開発するオートフォーカスアイウェア「ViXion01S」。同デバイスは、中央に搭載されたセンサによって対象との距離を測定したのち、その距離に応じてレンズの形状を変化させてピントを調節することで、眼のピント調節機能を代替・拡張するもの。元々は弱視などの視覚障害を抱える人のサポートを目指し開発されたというが、現在では近視や乱視などの解決にも効果が発揮されることから、一般的な眼鏡に近いデザインに改良され、大きく軽量化することにも成功したとしている。
経済産業大臣賞 シャープ「屋外対応 A0サイズ ePoster」
経済産業大臣賞には、シャープが開発した屋外対応型のA0サイズePosterが選ばれた。同製品は、電子インクの活用によって消費電力ゼロでディスプレイを表示できる電子ペーパーで、今回は従来品から大型化し、A0サイズ(841mm×1189mm、A4サイズの16倍)を実現。また屋外環境や夜間の表示にも対応できるよう太陽光発電システムを実装し、プラグレスのディスプレイ表示システムとして完成させた点も特徴だとした。
デジタル大臣賞 CalTa「TRANCITY」
デジタル大臣賞は、ブラウザベースで利用できるデジタルツインソフトウェア「TRANCITY」が受賞。同ソフトウェアでは、簡易的なカメラやドローンで撮影した映像をアップロードするのみで3Dモデルが生成され、位置や寸法の情報などをデジタルツインとして管理できるという。動画撮影に特別な知見は不要で、スマートフォンなどでもデータをソフトウェアを利用できることから、主にインフラ設備の維持管理などへの活用が期待される新技術だ。
25周年特別賞 NEC「映像認識×生成AI」
25周年を迎える今年度に限り設置された特別賞は、NECのDX推進ソリューションに決定した。同技術は、映像認識AIと自社製LLMを活用することで、複数の映像から得た情報を文章としてアウトプットするもので、交通事故の監視映像を基にした保険業者の調査業務の効率化など、さまざまな産業におけるDXに貢献することが期待されるという。また鹿野氏はこのソリューションについて、「AIが中心的なテーマとなった今年度のCEATECを象徴している」と受賞の理由を説明した。
グローバル部門賞は会期中に発表予定
またこれらのほかにも3つの部門賞が決定。さらに会期中には、会場にて審査が行われる「グローバル部門賞」が発表される予定だ。
イノベーション部門賞
- HMS「配筋検査自動化システム」
- TDK「スピントロニクス技術を用いた第4の受動素子」
- 村田製作所「コンデンサ/インダクタ内蔵基板」
ネクストジェネレーション部門賞
- 慶應義塾大学「バッテリフリー無線センシングシステム」
- 東北大学「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」
コ・クリエイション部門賞
- エゾウィン「Reposaku(レポサク)」
- トリマティス「水中フュージョンセンサ」