TISは9月19日、インドネシアの計28都市(15交通事業者)において、同社が出資するインドネシアのPT Aino Indonesia(AINO)と共同開発した交通決済パッケージ「Acasia2.0」の導入が決定したことを発表した。

  • 「Acasia2.0」のサービス提供イメージ

    「Acasia2.0」のサービス提供イメージ

「Acasia2.0」導入の背景

インドネシアでは、車やバイクによる移動が主たる交通手段であり、首都・ジャカルタをはじめ、地方都市においても交通渋滞や大気汚染が深刻な社会問題となっているため、同国では自家用車から公共交通機関へのモーダルシフトの実現を重要施策として掲げ、地方LRTの新規建設やBRT(Bus Rapid Transit)導入、バス路線網の充実などに注力している。

交通機関においては利用者数が増加傾向にある一方、高い現金決済比率、交通機関ごとの決済手段/運賃体系の違い、不正乗車防止など、利便性向上や効率化には多くの課題の解決が求められていたという。

TISは2018年にAINOと資本業務提携を行い、複数の交通機関にまたがるルート検索や予約、ICカードおよびモバイルQRコードによる決済が可能な交通決済パッケージ「Acasia」を共同開発。2021年にはインドネシアの首都・ジャカルタの交通決済基盤「JakLingko」をコンソーシアムとして受注し、Acasiaを活用したサービスを現在も提供している。

「Acasia2.0」の概要

今回の取り組みは、インドネシアの地方都市においても質の高い統合的な交通決済基盤を安価に利用可能とするもの。各都市における公共交通のネットワークや運行の統合など、持続可能な都市交通システムの実現を目的として、TISが経済産業省の「インドネシア国・マルチテナント型の統合交通決済プラットフォーム事業に係る調査事業」を受託したことから始まり、継続的な日尼企業協働事業として実現に至った。

計15交通事業者への導入で展開するエリアは12州、28市にわたり、2024年1月から順次導入を開始している。

  • 「Acasia2.0」採用事業者

    「Acasia2.0」採用事業者

2024年度中には交通事業者すべてでの導入が完了する予定であり、すでに導入している首都・ジャカルタに加え、多くの地方都市においても公共交通機関利用者の利便性が向上し、交通渋滞の解消や低炭素化、地方活性化などに貢献するとしている。

Acasia2.0の導入により期待できる効果として、キャッシュレスの推進、低・脱炭素化の実現、データの利活用を挙げている。

今後、Acasia2.0のインドネシアの地方都市への展開をTIS、AINOが共同で推進するとともに、同様の課題を抱えるASEAN他国への展開を目指す。また、交通決済プラットフォームに集約されるビッグデータを活用した交通・都市マネジメント市場へのサービス開発を推進していく考えだ。