顧客アクセス向上と社内人材確保へ羽田に新拠点を設立
さまざまな産業において自動化が推進される中、星野CEOは、「今はまだ屋外搬送の自動化をターゲットとした競合はほぼいないと言えるが、近いうちに間違いなく屋外搬送が自動化されることが“当たり前”の時代が来ると思っている」とする。そしてここ2年間では、サービスの認知拡大や導入数の増加を目標としてきたeve autonomyのスローガンとして、「2020年代のどこかでeve autoが屋外自動搬送の代名詞になること」を掲げた。
現在では、自動車メーカーや物流現場、化学・エネルギー企業の現場など、全国約40拠点でおよそ60台の車両が稼働しているというeve auto。そして今後の認知拡大や人材獲得、さらには事業の拡大に向けて、今回の羽田新オフィス開所を決定したとしている。
従来eve autonomyは、実際に車両が稼働するヤマハ発動機の浜北工場を見学するか、車両を貸し出し自社施設で試すことができる体験サービスが用意されていたとのこと。また2024年8月からは、静岡県磐田市の本社倉庫内に「竜洋ショールーム」を開設し、顧客向けのデモンストレーションの場として活用しているとする。
そして今般、国内外からのアクセスが良い場所にデモンストレーションの場を作るという狙いから、羽田空港に隣接した羽田イノベーションシティに新たな拠点を開所。新オフィスには執務エリアや来客用ミーティングエリアに加え、車両の展示エリアやメカニックエリアも用意されているといい、顧客が実物に触れる機会の創出につなげていくとした。
また加えて、首都圏の優秀な人材を獲得したり、首都圏で働くメンバーの拠点として業務効率化に貢献したりと、人材戦略の意味でも大きな意味を持つという新オフィス。「すべての『働く』に彩りを」というビジョンを掲げるeve autonomyの想いを込めた場所になっているという。
自動走行のデモンストレーションも実施
また開所式に際して、羽田新オフィス周辺での屋外自動走行のデモンストレーションも行われた。今回は、事前に設定されたルートを車両が走行し、途中の障害物やゲートに差し掛かった際には停止・再発進する、という形式で行われた。
デモンストレーションでの走行は、まさにスムーズそのもの。一般利用者も歩行する中でもトラブルなく走りを続け、障害物を検知した場合やあらかじめ設定された場所ではしっかりと停止。ゲートとはBluetoothを介して通信することで開閉を調整でき、同一システム上でゲートやシャッターとの連動も可能だとする。
eve autonomyの担当者によると、今後高めていきたい性能のひとつとして“正着性”があるとのこと。停止位置までもより細かく制御できれば、荷物の積み下ろしにも自動ロボットを活用し、搬送における完全自動化なども実現できる可能性があるとしている。
拡大する自動搬送市場で将来的には売上高100億円を目指す
物流現場の“2024年問題”に代表される人手不足による社会課題は、今後も深刻化していく可能性が危惧されており、自動化ソリューションを活用した課題解決に対するニーズは増大する一方だ。
そうした中で星野CEOは、短期的には現在のeve autoを軸に事業を拡大することを目指すとし、2030年には年間1000台の市場規模となることが予想される搬送領域について、同時期に年間200台の販売、そして売上高50億円を目標に掲げた。また将来的には海外展開やパートナー企業との協業による新領域への進出も構想しており、最終的には売上高を100億円規模まで伸長させたいとしている。