科学技術振興機構(JST)は2日、あらゆる立場の人が対話や体験を通じ、科学技術と社会をつなぐ国内最大級のイベント「サイエンスアゴラ2024」の概要を発表した。来月26~27日に東京・お台場のテレコムセンタービルと日本科学未来館で実地開催する。

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    あらゆる立場の人が対話や体験を通じ、科学技術と社会をつなぐ「サイエンスアゴラ2024」

サイエンスアゴラは、未来社会のあり方を市民や科学者、政策立案者らが共に考え、知を紡ぐイベントとして2006年から開催している。今年のテーマは「サイエンスと共に未来へ~Bound for the future with Science~」。実地の対話や体験により得られる価値を重視して企画を募集し、約150企画が決まった。

遠隔医療のための移動型手術車両、人と生成AI(人工知能)との共生といった企画を通じ、幅広い層が楽しめるという。科学コミュニケーションをめぐるシンポジウム、障害のある人を含めた防災、先端技術の課題を議論するセッションなどにより、多様な参加者による対話を実現する。会場をより楽しんで回れるよう、AIが来場者ごとに合う企画を薦める「AIブースラリー」も提供する。

例年、お台場で開催してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け2020、21年はオンライン形式とした。22、23年は実地とオンラインの併催。今年はこれを見直して完全実地開催とし、メイン会場のテレコムセンタービルに加え、日本科学未来館とも連携して実施する。所在地はいずれも東京都江東区青海(あおみ)。ただし宮野公樹(なおき)・京都大学准教授らによる、25日夜の前夜祭「出展者に聞いてみる 企画のココが面白い!」はオンラインのみで実施する。

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    (左)メイン会場となるテレコムセンタービル、(右)日本科学未来館

メイン会場では来場者の好奇心を刺激し、出展者の間で新たなつながりが生まれるよう企画の配置を工夫する「キュレーション」を実施。「地球・生き物・私たち」「食・暮らし・健康」など5つのジャンルを設けた。科学コミュニケーション分野で活躍するアナウンサーで同志社大学助教の桝太一氏ら、有識者11人で構成する「サイエンスアゴラ2024推進委員会」(委員長=次田彰JST理事)がこのキュレーションを進め、注目企画も選出した。

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    (テレコムセンタービルの各階がにぎわった、昨年のサイエンスアゴラ

ユニークで目を引く企画には▽同委員会委員でサイエンスエンターテイナーとして知られる五十嵐美樹・東京都市大学特任准教授によるサイエンスショー、▽福井県立大学恐竜学研究所の監修による、最先端のVR(仮想現実)技術を活用した恐竜学体験、▽教育界の第一線で活躍する正頭(しょうとう)英和・立命館小学校教諭による子供の主体的な学びを引き出すワークショップ、▽ドローンの操縦体験――などがある。次世代を担う中高生や大学生も、ブースやセッションなどで活躍する。

一部の実費負担を除き参加は無料。一部に事前登録制や、整理券制の企画がある。参加方法などの詳細は、特設サイトで順次公開される。

推進委員会が選んだ注目企画は、キュレーションのジャンル別に、次の通り。丸カッコ内は開催日と形態(「ブース」は終日、「セッション」は特定の日時に実施されるもの。いずれもテレコムセンタービル内)。

【学び・体験・ものづくり】

  • 国際科学オリンピックワークショップを体験しよう!(10月26~27日、ブース)
  • さわって問い生む、探究トイ展。(同)

【食・暮らし・健康】

  • 今、起きている「食と科学」の新たな変化を語ろう!(同)
  • めぐる・つながる・ひろがる~未知なる価値への冒険~(同)
  • ウイルスの謎に迫る!~研究最前線から共存する未来まで~(26日、セッション)
  • ろう・難聴者と聴者でインクルーシブ防災を考えよう(26日、セッション)

【地球・生き物・私たち】

  • 生き物に学ぶネイチャーテクノロジー(26~27日、ブース)

【研究・対話・エンタメ】

  • みんなの声聞かせて!科学と共創する未来を作ろう!(同)
  • ダリの“め”美術館~AIと私の未来を語る展~(同)
  • ダークマター研究の未来 君ならどう挑む?(27日、セッション)

【街・空間・身体拡張】

  • 都市型DAC-Uシステム(人工光合成)の描く未来(26~27日、ブース)
  • イノベーションでFUKUSHIMAが変わる(同)

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