ウェザーニューズは、雹(ひょう)のリスク予測モデルを高度化し、36時間先まで1時間ごとの「ひょうリスク予測API」を販売開始。ソニー損害保険(ソニー損保)が同APIを先行導入し、降ひょうのリスクが高まると自動車保険加入者に対して事前に警告するサービスを5月から開始予定だ。
近年はゴルフボール大のひょうが降ることもあり、自動車や建物の破損、農作物への被害、怪我など、各地で被害が出ているが、降ひょうは短時間で局所的に起こるため、予測が難しいとされる。
ウェザーニューズでは、気象データなどを活用してビジネス課題を解決する「WxTech」(ウェザーテック)サービスを2020年から提供しており、今回新たに、1kmメッシュ(四方)の独自のひょうリスク予測モデルを高度化。36時間先まで1時間ごとの降ひょうリスクを「リスクが低い」、「可能性あり」、「注意」、「警戒」の4ランクで予報し、顧客に予測データを提供する。
同社がひょうに関する予測データのAPIを提供するのは、今回が初めて。月額料金で提供し、指数を取得したい地点数やクライアント数にあわせた従量料金となる。
同社のひょうリスク予測モデルには、「ウェザーニュース」アプリのユーザーから寄せられた、過去1万通以上の降ひょうデータと当時の大気の不安定度や降水強度など、気象データの解析結果を反映。さらに、リアルタイムのひょう報告も自動でタイムリーに取り込み、降ひょうの予測精度を高めた。更新頻度は5分ごと。
クラウド経由でAPI提供するため、顧客は必要な日時や緯度経度を指定するだけでデータを取得でき、自社の既存システムにも組み込みやすいとのこと。用途に応じて1kmメッシュだけでなく、市区町村ごとも選べ、その場合は該当エリアにおける1kmメッシュごとのランクをまとめて最大値を算出する。
なお、ひょうリスク予測は、企業専用にカスタマイズできる「ウェザーニュース for business」でも提供中で、スマホアプリ版では36時間先までの拠点ごとのひょうリスクを確認可能。3時間以内にひょうが発生するリスクが高い場合にプッシュ通知でお知らせする「ひょうリスクアラーム」も利用可能。PC版では全国のひょうリスクをマップ表示し、企業の拠点や周囲のひょうリスクをモニタリングできる。
ソニー損保が5月から自動車保険加入者向けに開始するサービスでは、ひょう災を回避できるよう、ウェザーニューズのひょうリスク予測データを用いてアラートメールを配信。前日夜の段階で降ひょうが予測される市区町村に済む加入者に、降ひょうのリスクを知らせ、回避行動をうながす。
また、ひょう災リスクの高いエリアで車両保険を契約している加入者には、被害が発生した後で保険金請求をスムーズに行えるよう、WebサイトやLINEで事故受付について案内するフォローメールを翌日送るとのこと。
ひょうによる自動車の損害は、車両保険を契約していない場合は修理費が全額自己負担となる。車両保険を契約している場合は保険会社に保険金を請求できるが、翌年の保険料が上がることから、契約内容に関わらず多くのユーザーに経済的な負担が発生する。また、大規模なひょう災が起きると、地域の修理工場へ修理依頼が集中し、修理完了まで長期間要するといった問題も起こる。
ウェザーニューズは、保険や農業、商業施設、建築、物流業界などひょうがビジネスに影響を及ぼすさまざまな企業の防災・減災につながる取り組みを支援。ソニー損保では、ひょうのリスクをユーザーに事前に伝えることで損害を未然に防げるようにし、事後の保険金の請求までスムーズに手続きできる体制を整えることで、顧客満足度の向上を図る。