ソフトバンクグループによるAI半導体開発プロジェクト「Project Izanagi(プロジェクト・イザナギ)」は、Intelと製造に関する提携協議を行ってきたが、この数カ月のうちに物別れに終わったと英Financial Timesが報じている

同紙によれば、Intelはソフトバンクグループの要求に応じることが難しいとし、8月初めに公表した2024年第2四半期決算ならびに経費削減施策の前の段階ですでに協議が行き詰っていたという。ソフトバンクとIntelの協議が物別れになった明確な理由は明らかではないが、これが事実であれば、Intelはファウンドリの顧客候補を1社逃したこととなる。

ソフトバンクグループは、Intelに替わってTSMCと製造委託に向けた交渉を続けている模様だが、TSMCは先行するNVIDIAなど既存顧客からの先端プロセスに対する需要に対応するのに追われている状況にあり、合意には至っていないという。

ソフトバンクグループの孫正義 代表取締役 会長兼社長執行役員は、NVIDIAに匹敵するAIアクセラレータを開発・販売する企業の創設を目指し、最大1000億ドルの投資を検討していると伝えられている。この計画は、単にAI半導体の設計・販売にとどまらず、データセンターの構築や独自のソフトウェアスタックの開発まで視野に入れた総合的なものだという。

プロジェクト・イザナギは、ソフトバンクグループが買収したArmやAI半導体開発会社の英Graphcoreの技術を活用し、NVIDIAのCUDAに匹敵するソフトウェア環境の構築も目指す取り組みの模様で、ArmのCPU設計とGraphcoreのAI半導体設計開発のノウハウを組み合わせることで、競争力のある製品を生み出そうとしている。

孫氏は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦の投資家に資金の提供を打診しているともされているが、具体的な合意には至っていない模様で、GoogleやMetaなどの大手ハイテク関連企業にも協力を呼びかけているとも噂されている。