積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは7月25日、同社武蔵工場における先端半導体製造工程に使用される高接着易剥離UVテープ「SELFA」の生産能力を増強すること、ならびに同製品を含む半導体関連材料の評価・分析が可能なR&D拠点を台湾の新竹市に新設すると発表した。

SELFAは、高接着性とUV照射による易剥離(テープと被着体間にガスを発生させ、密着力をゼロにして簡単に剥がすことができる)性を両立させたテープで、薄く研磨されたウェハでもダメージ無く加工することができる。

この特性は、人工知能(AI)、高速通信向けの最先端半導体や車載向けパワー半導体向けを中心に高く評価されているという。

半導体産業は2030年には1兆ドルの市場に成長するといった予測もあるように、長期的な需要拡大が見込まれることから、同社では同製品のニーズの高まりが期待できることもあり生産能力増強と品質管理レベル強化を図るべく、今回の決定に至ったと説明している。

また、半導体関連企業が集積し、最先端の技術開発が積極的に進められている台湾の新竹にR&D拠点を新設することで、顧客の近接地にて評価・分析を行うことが可能となるため、高度化が進むニーズの先取りができるようになるとするほか、対応強化を図っていくことで各種半導体材料の新規開発の加速や採用の拡大につながることが期待されるともしている。

今回の投資総額は武蔵工場の生産能力増強と台湾半導体材料R&D拠点の開設併せて約50億円が予定されている。武蔵工場の増強部分は2027年度上期(2027年4月~9月)からの稼働を計画しており、SELFAをはじめとする各種テープ製品や発泡ポリオレフィン、耐火材料などを生産していく予定している。

  • 高接着易剥離UVテープ「SELFA」

    積水化学の高接着易剥離UVテープ「SELFA」

一方の台湾のR&D拠点は、面積約370m2の規模で2025年4月から稼働する予定。主に、半導体材料関連製品(高接着易剥離テープ、層間絶縁材)の評価・分析および設計開発の機能を持たせることになるとしている。

  • 半導体材料R&D拠点

    台湾に新設予定の半導体材料R&D拠点のデザイン図

なお、同社は今回の新拠点の開設を皮切りに、エレクトロニクス関連事業における半導体分野拡大に向けて、韓国・米国などへの拠点展開も検討していくとしている。