米国商務省ならびに国立半導体技術センター(NSTC)の運営組織「Natcast」は、「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」を通じて資金提供される最初の3つの研究開発(R&D)施設とその選定プロセスを定めたことを発表した。選定プロセスに関する詳細な情報は、後日改めて発表するとしている。

対象となる3施設は以下の通り。

  • NSTC Prototyping and National Advanced Packaging Manufacturing Program(NAPMP) Advanced Packaging Piloting Facility(NSTCプロトタイピングおよび国立先進パッケージ製造プログラム(NAPMP) 先進パッケージパイロット施設)
  • NSTC Administrative and Design Facility(NSTC管理および設計施設)
  • NSTC Extreme Ultraviolet(EUV)Center(NSTC EUVセンター)

CHIPS法に基づくこれらの施設は、米国の半導体エコシステム全体のパートナーを集め、半導体設計と製造における技術進歩が大規模な商業化に移行できるようにすることを目的としたもの。このアプローチについて米国商務省傘下のNIST(米国立標準技術研究所)は、今後数十年にわたって米国内の半導体製造、パッケージング、研究を確保し、主導するという米国のコミットメントを示すものだとしている。

米国防省とNatcastでは、NSTC管理および設計施設を2025年に、NSTC EUVセンターを2026年までに、NAPMP先進パッケージパイロット施設を2028年にそれぞれ稼働させる予定で、これらの施設を組み合わせることで、イノベーターが協力し、マイクロエレクトロニクスにおける最も困難な問題を解決できるようになるとしている。

具体的な問題とその解決手法としては、「最先端パターニング技術を用いた研究に必要なEUVリソグラフィへのアクセスを含む、マイクロエレクトロニクス技術分野全体にわたる世界クラスの研究開発を可能にすることでイノベーションを加速する」、「既存の同等施設を超えて半導体エコシステムに明確な価値があることを保証するために 差別化を図る」、「数十年にわたって永続的な価値を創造し、あらゆる種類および規模の企業からの投資を引き付けることで、 財務的に持続可能になる」、「NSTCおよびNAPMPに代わってNatcastが施設の運営に関する戦略的な決定を下せるようにし、施設がすべてのメンバー組織とその従業員にイノベーションを成功させる機会を与える場所となるようにすることで、独立性と中立性を保つ」を挙げている。

なお、NSTCの関連施設への応募団体の選考に関しては、日本のLSTCのように政府からのトップダウンで参加組織や人選を行うのではなく、まず基本方針を定めたうえで、厳格な選考基準と選考方法を定めて、一般公募により選考する手続きを踏むため、公募の告知と選考に時間が必要となるため、2026年以降でないと稼動しない見込みである。