TSMCが、米アリゾナ州で建設を進めている半導体工場の敷地内に、2027年をめどに水再生プラントを設置する計画を立てており、それにより水の回収率90%を目指す方向で調整を進めていると台湾の中央通信社やアリゾナ州の地元紙が報じている。
TSMCアリゾナ工場のファシリティ・ディレクタを務めるGreg Jackson氏は地元紙Arizona Republicのインタビューに答える形で、「2025年に工場が稼働すると、1日当たりの水使用量は推計で約475万ガロンとなる。半導体工場としては一般的な量だが、その65%を回収して冷却塔や空気汚染処理システムといった超純水を必要としない分野での再利用を計画している」と説明している。水再生プラントが稼働後は、一日当たりの水使用量は100万ガロンまで減少し、最終的には工場からの液体廃棄物を排出しない「無排水」に近い状態の実現を目指すこととなり、水の回収率は90%に達する見通しだという。
TSMCは台日でも水の使用量の削減へ
TSMCアリゾナ工場の初期の水消費量は1日当たり約475万ガロンと予測されているが、これは建設地であるフェニックスの1万4250世帯以上の1日の水必要量に相当する。そのためフェニックスの住民たちは、TSMCの半導体工場の水使用量と地元の水供給への影響の可能性を懸念していると地元紙は伝えている。TSMC熊本工場(JASM)周辺でも住民が地下水の枯渇を心配しており、こうした動向に対して、TSMCのC.C.Wei会長は、6月の株主総会で熊本での第3工場建設に着手するかどうかの検討について、「同地での水資源などの問題を解決したうえで地元の賛同が得られること」を条件として示していた。同社は、水が不足がちの台湾では水の再利用を推進してきたが、建設が進む日米欧の工場建設に際しても水資源に関して相当気にしていることがうかがえる。