引き続き、国会会期末が相場の転換点の可能性
2024年3月22日に二番天井をつけた後、下落調整局面が続いてきた日本の株価の今後の展開を考える上で、前回指摘したように二番底がいつ入るかが重要だと前回指摘しました。二番底が入らないと株価が上がらないというのが波動です。
もう1つは、時間の波動、日柄では3月22日から短期波動の3カ月目にあたる6月23日が相場の転換点になる可能性があります。
この6月23日の国会会期末を過ぎても、株価が4万円の壁を抜けない状況が続いていた場合には、9月下旬までに、自民党総裁選の結果次第では、株価が動き始めることになるでしょう。岸田文雄首相が再選するのか、または別の人物が選ばれるのかを、株式市場は注目しています。
最近の株価の動きを見ると、5月30日に3万7617円という安値をつけて、その後株価は3万9000円台に乗せてきています。この5月30日が二番底だった可能性があります。
二番底が入ったかどうかを、相場は確かめようとしています。
3月22日の4万1087円から、一番底の4月19日の3万6733円まで、マイナス4354円です。この半値戻しはどこかというと、3万8910円です。5月30日以降、株価は3万9000円台に乗っていますから、二番底が入ったことが有力になってきています。
ただ、直近の高値である5月20日の3万9437円を抜けるかが重要です。ここで頭打ちになるようでは、4万円の壁を抜くことはできません。ここを抜くと4万円の壁にトライすることになり、6月23日以降壁を突破する可能性が出てきています。これが波動から見た目先の見通しです。
では、この後の上昇における買い材料は何か。1つは、これまで日本の株の頭を押さえていた、自民党の政治資金パーティを巡る、いわゆる〝裏金問題〟がありましたが、政治資金改正法案が国会を通過しました。これによって、この問題は一段落した形で、これは株価にプラスです。
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解散総選挙があれば言うことなしですが、最近の岸田首相の発言からは、今国会会期末の解散はないのではないかという見方が有力になっています。
こうなると、9月の自民党総裁選に向けて、岸田首相は再選を目指してわかりやすい減税、景気対策を打ってくる可能性が高まります。
さらには外交で成果を出そうとしてくるでしょう。例えば北朝鮮を訪問して拉致問題を前進させるというのも1つでしょうし、米・バイデン大統領との良好な関係を生かした日米首脳会談の再現も候補になり得ます。
4―6月の実質賃金の統計が7月に出てきますが、これがプラスに転換しているかも注目点です。
FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが近いという観測も、市場で出てきています。その期待で米国のハイテク株高が続いていますから、行われなければ米国株は頭打ちになります。利下げが行われれば、米国株高に連動して日本株も上昇します。
これらが、今後の日本株の行方を左右する、買い材料の候補になります。
前述のように、早ければ6月23日の国会会期末以降、遅くとも7月には4万円の壁にトライする新しい上昇波動が始まるものと見ます。それには今後、前述のように、総裁選に向けて、岸田首相が景気対策や外交で成果を出そうとすることもプラスに働きます。
そうなると株価は4万円買い、4万5000円売りという新しいゾーンに入っていくものと予想しますが果たしてどうでしょうか。
日銀の利上げと株価の関係
日本銀行の金融政策決定会合が6月13日、14日に行われました。ここで利上げをするのではないかというのが市場の懸念でしたが利上げはなく、賃金と物価の好循環が確かめられるまで利上げは行われないというメッセージが伝わったため、株価は一時上昇しました。
ただ、日銀が量的緩和の縮小を始めているので、株価の不安材料になっています。6月17日には金融引き締めと受け止めて、株価は712円安と大幅に下落しています。
しかし私は、中長期的に見れば、利上げするということは、植田和男・日銀総裁が言う、物価目標2%の実現に近づいている、脱デフレが進んでいるという証拠になります。
ですので将来、日銀が利上げをして株価が下がった場合、そこは絶好の買い場になるものと見ています。
先日、植田総裁は岸田首相に面談しています。その時に岸田首相から、今の円安、物価高を是正するよう、要請があった可能性があります。先日の財務省の為替介入では効かなかったということですが、残された策としては日銀の利上げによって円高にすることです。
日銀としては、7月に実質賃金がプラスに転じるなど、前述のように、「賃金と物価の好循環」を確認してから利上げしたいというのが本当のところだと思います。
ですから、7月の実質賃金の数字などを見た上で、7月の政策決定会合で利上げを検討するということになるでしょう。以上のことから、7月は株価の転機となるかもしれません。