STMicroelectronicsは、独自のインテリジェントなヒューズ保護機能と診断データ用のシリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)を搭載し、障害に対する迅速な復旧や高い機能安全を実現する車載用ハイサイド・スイッチ「VNF9Q20F」の量産を開始したことを発表した。
同製品は、4チャネルのハイサイド・スイッチで、同社のVIPower M0-9 MOSFETおよび独自のI2t(電流二乗時間積)機能をベースとし、過電流を検出すると100µs以内にMOSFETをオフにするSTi2Fuse技術をモノリシックに集積した新たな電源スイッチファミリ製品という位置づけ。こうした特徴のある機能により、インテリジェントな回路ブレーカとして機能し、基板回路の電圧安定性を高め、基板配線やコネクタ、ワイヤハーネスの過熱を防止することができると同社では説明しているほか、過負荷による損傷を防ぐとともに、無害な突入電流を許容するキャパシタ充電モードを備えているため、容量性負荷が大きい状況においても正常な動作が可能だともしている。
また、最新のE/E(電動化/電子化)ゾーンアーキテクチャに対応し、ヒューズやリレーの置き換え、ECU(電子制御ユニット)の絶縁、および駐車中に動作するシステムの管理などにも使用できるとしているほか、STi2Fuseは、64通りの電流制限値を設定できるため、高精度で過負荷への応答時間を設定できるともしている。
さらに、10bit A/Dコンバータやフォールトレジスタなどの機能も内蔵しているため、豊富な診断情報とデジタル電流検出フィードバックが可能になり、予知保全などの車載機能をサポートできるほか、SPIによる診断機能やBIST(組み込みセルフテスト)により、ISO 26262に準拠した自動車安全性レベルを満たすシステム開発にも対応できるとしており、内蔵しているフェールセーフモードにより、故障や動作不良時においても動作状態を維持することもできるとしている。
なお、同製品はすでにQFNパッケージ(6mm×6mm)で入手可能な状態となっており、単価は1000個購入時で約2.850ドルとしている。