Vicorは、英Saabの無人水中探査機(ROV)「Seaeyeシリーズ」に、Vicorの電源モジュールを採用されたことを発表した。

Seaeyeシリーズは、2022年3月に行われた1915年に沈没した英国の探検家アーネスト・シャクルトン卿の南極探検船「エンデュアランス号」の南極海での探索でも活用されたことでも知られる完全電動ワーククラスのROV(eWROV)。従来の油圧式ROVと異なり、完全な電動システムの採用により油圧作動油を不要とし、環境リスクの軽減などを実現しつつ、従来の油圧式ROVと肩を並べる250馬力級の潜水機と同等性能を発揮することが可能だという。

  • Saabの無人水中探査機(ROV)「Seaeyeシリーズ」

    Saabの無人水中探査機(ROV)「Seaeyeシリーズ」 (提供:Vicor)

また、電気推進としたことで、高圧システム部が減り、信頼性が向上することに加え、保守点検の間隔も改善したほか、稼働期間の長期化とセルフモニタリングによる定期点検の回数削減などのメリットももたらしたという。

Vicorでは、SaabはeWROVに小型かつ軽量で高負荷に対応できる性能が求めていたことから、Vicorの高電力密度かつ高効率な電源モジュールを採用することを決めたとしており、このモジュールを活用することでスラスタ、マニピュレータ、搭載電子機器などのさまざまなeWROVサブシステムへの効率的な配電を可能にしたと説明している。また、同モジュールの活用により、24Vや48Vといったカスタマイズにも対応することができたともしている。

  • 水中でのeWROVの稼働イメージ

    水中でのeWROVの稼働イメージ (提供:Vicor)

加えて、この高い電力密度による高度な機能の搭載により、大型の油圧式ROVの性能を上回ると同時に積載物のスペースの拡大を実現したともしている。