Infineon Technologiesは、CoolGaNテクノロジーベースの製品として、「CoolGaN双方向スイッチ(BDS)」ならびに「CoolGaN Smart Sense」を発表した。
CoolGaN BDSは、40V、650V、850Vの双方向スイッチでソフトおよびハードスイッチング特性を提供するもので、対象アプリケーションとして、モバイル デバイスのUSBポート、バッテリー管理システム、インバーター、整流器などが想定されている。650V品ならびに850V品は動作する4つのモードを持つノーマリーオフモノリシック双方向スイッチで、ゲート注入トランジスタ(GIT)テクノロジーを採用し、基板端子を持ち絶縁された独立制御が可能な2つの分離ゲートを備えている。これらのゲートは同じドリフト領域を利用し、反復短絡状態においても優れた性能で両方向の電圧をブロックすることが可能なため、4個の従来型トランジスタに代えて1個のBDSを使用することで、効率、密度、信頼性の向上などを実現できるようになると同社では説明している。
また、CoolGaN BDS 40Vについては、自社ファブの有するショットキーゲートGaNテクノロジーを採用したノーマリーオフモノリシック双方向スイッチとしており、電圧を両方向でブロックでき、シングルゲートおよび共通ソース設計により、バッテリー駆動の民生用製品の切断スイッチとして使用されるバックトゥバックMOSFETを置き換えるために最適化されているとする。オン抵抗は6 mΩとしているが、それ以外の製品展開も予定しているという。同社では、例えばバックツーバックSi FETの代わりに40V GaN BDSを使用する場合、プリント基板面積の50~75%の削減、50%を超える電力損失の削減を図ることができるようになるとしている。
一方のCoolGaN Smart Sense製品はロスレス電流検出、設計の簡素化、電力損失のさらなる削減、1パッケージへのトランジスタスイッチ機能の統合といった特長を持った製品で、民生用USB-C充電器やアダプタでの使用を想定したもの。2kVの静電気放電耐性を持ち、ピーク電流制御と過電流保護のためにコントローラの電流センスに接続することができるほか、電流検出応答時間は、一般的なコントローラのブランキング時間と同等かそれ以下の約200nsであるため高い互換性を得ることができるとする。また、例えば350mΩというオン抵抗でも、従来の150mΩのGaNトランジスタより低いコストで同様の効率と熱性能を得ることができるとしているほか、従来のトランジスタのみのCoolGaNパッケージとフットプリント互換性を有していることから、レイアウト変更やプリント基板の再スピンが不要となるため、設計容易化にもつながるともしている。
なお、CoolGaN BDS 40Vは現在、オン抵抗6mΩ品のエンジニアリングサンプルが行われているほか、2024年第3四半期には4mΩ品ならびに9mΩ品の供給も開始する予定。CoolGaN BDS 650Vのサンプル出荷は2024年第4四半期より、850Vは2025年初頭にそれぞれ供給開始を予定。CoolGaN Smart Senseについては、2024年8月からのサンプル出荷を予定しているという。