Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)やJon Bon Joviなどミュージシャン約200人が、AIを使った音楽生成について公開書簡を発表した。自分たちの音楽が許可なくトレーニングに使われていること、いわゆる“AIサウンド”の使用によりロイヤリティ義務が希薄化していることを訴えている。

AIが音楽のトレーニングデータに使われる懸念を示すアーティスト

Artist Rights Alliance(ARA)は4月2日、「Stop Devaluing Music」として、AI企業、AI開発者、プラットフォーム、デジタル音楽サービスなどに対して、音楽におけるAIの活用をやめるように求める文書を発表した。

書簡ではAI開発を目的に無断で作品が使われること、ロイヤリティ義務が希薄化していることを指摘し、そのような利用を中止することを求めている。

「最大級の規模とパワーを持つ企業の一部が、許可なしに我々の作品を使ってAIモデルをトレーニングしている」と批判し、「ミュージシャン、アーティスト、ソングライターは生活のために働いており、この状況は壊滅的なことになる」としている。

責任ある形で使われれば、AIは人間の創造性を前進させるような潜在性を秘めているとしながら「人間のアーティストを置き換えるような生成AIの非倫理的な使用は、アーティストにとってもファンにとっても、音楽のエコシステム全体の価値を低下させる」とARA 執行ディレクターのJen Jacobsen氏は述べている。

また、同氏は「責任のない形で使用された場合、AIは我々のプライバシー、アイデンティティ、音楽、生活を守る能力に大きな脅威となる」と綴っている。この書簡には、ビリー・アイリッシュやBon Joviのほか、Imagine Dragons、Katy Perry、Nicki Minajなど約200人のミュージシャンが賛同を寄せている。