富士通とSuper Micro Computer(以下、Supermicro)は4月23日、AIコンピューティング分野で実施している両社の戦略的協業を強化し、富士通グループからSupermicroのサーバのOEM製品を迅速に提供できる体制を構築するとともに、Supermicro製品向けに水冷サーバとGPUサーバの保守を提供する「SupportDesk」、およびサーバの管理を支援する統合管理ツール「Infrastructure Manager」を6月から提供開始することを発表した。

富士通はOEM製品の第一弾として「PRIMERGY GX2570 M8s」を6月より提供する。また、これらのOEM製品や保守、統合管理のサービスには同社の企業向けLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「Takane」を組み合わせ、生成AIの活用基盤をトータルに提供するマネージドサービスとして、ユーザーが資産を保有せずに利用できるas a Service型で7月より順次提供を開始する予定。

サービス提供の背景

企業において機密情報や個人情報を取り扱う業務で生成AIを活用する際、生成AIの意図しない学習リスクや情報漏洩、情報の保管場所に対する社内規定などが課題となり、専有環境が必要とされる。また、生成AIを活用できる専有環境の基盤を構築する際には、サーバの選定から導入、保守、運用など、高度な専門知識を有する人材が必要となる。このため、生成AIの活用に必要となる高性能なGPUを搭載したサーバや保守・運用におけるサポート、サーバの安定稼働を支える管理ツールが求められる。

両社の取り組み

富士通はSupermicroと戦略的協業を強化し、Supermicroが開発するサーバの情報提供を受け、リセールやOEM製品を市場で迅速に提供できる体制を構築した。OEM製品の第一弾として富士通グループより提供を開始する「PRIMERGY GX2570 M8s」は、10Uサイズの空冷と4Uサイズの水冷の2種類からなり、GPU「NVIDIA HGX B200」を搭載するなど大規模生成AIに適したサーバだという。

両社の戦略的協業の強化により、高品質な保守サービスを提供可能となった。保守・運用支援サービス「SupportDesk」では、富士通グループが提供するSupermicroのサーバに対し、約4000人のエンジニアと全国約700カ所の常駐拠点体制により、全国を対象に約2時間以内でのオンサイト対応を含むサポートを提供可能としている。

また、統合管理ツール「Infrastructure Manager」は、エンタープライズ企業が求めるサーバの導入や監視、更新などのライフサイクルの管理を支援するとともに、Supermicro製GPU搭載サーバと既存のx86サーバ「PRIMERGY」の統合運用管理を可能とする。ユーザーはミドルウェアやアプリケーションの活用に専念できるようになる。

富士通が提供開始予定のマネージドサービスは、これらのOEM製品や保守、統合管理のサービスに加えて、企業向けLLM「Takane」をはじめとする生成AIモデルを包括し、必要なサイズの生成AIの活用基盤をトータルに提供する。これにより、ユーザーは資産を保有することなく生成AIを利用できるようになる。