次世代のエッジAIテクノロジーの開発を加速するために、欧州連合(EU)の4つの主要な研究機関が新たに「PREVAIL」という名称のコンソーシアムを結成し、活動を始めたという。

この活動に参画している研究機関はフランスのCEA-Leti、ドイツのフラウンホーファー・ゲゼルシャフト、ベルギーのimec、フィンランドのVTTの4者で、高度なプロトタイプ製造機能を提供するネットワーク化されたマルチハブプラットフォームであるという。

2022年末に発足したこのプロジェクトは、加盟研究機関の300mmウェハ試作製造、設計環境、テスト施設、および関連専門知識を活用して、新しい高性能かつ低消費電力のエッジAIコンポーネントを検証し、革新的なエッジAIアプリケーションでテストするための初期研究プロトタイプサンプルの製造を担うインフラストラクチャをサポートするものだとのことで、名付けられたPREVAILとは、加盟研究機関のさまざまなインフラストラクチャとリンクし、重複を最小限に抑えるために投資を調整し、開発中のツールの技術レベルを共同で向上させるためのEUとしてのエッジAI開発の最初のステップだという。

42か月にわたるプロジェクトのために必要とされる約1億5600万ユーロの費用は、4つの研究機関の加盟国と欧州委員会が負担する予定で、この資金の約80%は、エッジAIデバイスの設計、テスト、製造に適した装置の導入を行うために使用される予定で、中でも3D ICを開発するための新しいパイロットラインの構築に重点が置かれるという。また、コンソーシアムでは、標準の商用CADツールと互換性のあるプロセス設計キット(PDK)およびチップ設計に必要な広範な情報をユーザーに提供するとしている。

なお、CEA-Letiビジネス開発マネージャー兼PREVAILプロジェクトマネージャのセルジオ・ニコレッティ氏は、「PREVAILプロジェクトの最終的な目標は、ユーザーが革新的で信頼できるエッジAI製品の研究サンプルを作成して商品化を加速できるようにすることで、簡単にアクセスできる先進的な製造インフラをヨーロッパに提供することである」と、その目標を説明している。また同氏は、「PREVAILプロジェクトは、AIの大規模なデータ処理要件をサポートする高性能、低電力のエッジコンポーネントとテクノロジーを提供することに加えて、欧州CHIPS法(European Chips Act)の目標である欧州連合加盟国のデジタルトランスフォーメーションを活性化するのにも役立つ」ともしている。