2024年1月1日午後に発生した「令和6年能登半島地震」。その被災地域内には半導体および関連する電子部品製造施設が複数点在しており、地震発生直後から各社が従業員の安否確認を中心に工場の状況把握などを開始。東芝、サンケン電気、KOKUSAI ELECTRICの3社が1月9日夜の時点までに判明した地震の影響に関する続報を発表している。

一部生産工程で操業を再開した東芝加賀エレクトロニクス

東芝は、傘下の東芝デバイス&ストレージの100%子会社であるパワー半導体やディスクリートデバイスの生産拠点である東芝加賀エレクトロニクス(石川県能美市)の地震による被害状況を1月9日夕方に以下の様に更新した。

  • 引き続きクリーンルームの排気配管の修復を最優先で取り組んでいる
  • 製造装置については、石英ガラス等の破損が確認され、手配・修理・交換を進めているが、必要数の確保に時間がかかる可能性がある
  • 新規投入、および被災前の生産能力復帰時期については決まり次第発表する
  • 被害の小さかった一部生産工程について、9日より操業を再開している

3つの工場の安全確認を継続、サンケン電気

サンケン電気は、震源に近い石川サンケンの3つの生産拠点(堀松工場、志賀工場、能登工場)に関して、1月8日ならびに9日に以下のような地震の影響の続報を発表している。

  • 従業員全員の安否確認を完了した
  • 3工場の建物については、専門家による一次診断では大きな問題はないが、一部の建物に対してさらなる安全確認も引き続き進める
  • 工業用水の確保に向けた確認を各自治体と行っている
  • 堀松工場・能登工場の生産設備については、地震による影響の有無を引き続き確認するとともに、確認の終わった設備は順次、生産再開に向けた準備を始めている
  • 志賀工場については、停電が続いているため、非常用電源を確保して被害確認を開始した。これにより3工場とも復旧に向けた活動段階に移行した。ただし、全容の把握には一定の時間を要する見込みである
  • 復旧活動については、自宅の損壊等により避難している従業員もいるが、出勤可能者による復旧活動が3工場とも始まっている。サンケン電気本社およびグループ各社からの応援を実施しており、今後も復旧活動のスピードアップに向けて増員を行っていく。

被災の影響は軽微もパートナー企業に被害が生じたKOKUSAI ELECTRIC

KOKUSAI ELECTRICは富山県の富山事業所ならびにグループ会社拠点の状況についてと、パートナー企業の被災状況について、9日に以下のような続報を発表している。

  • 富山事業所およびグループ会社拠点の従業員・家族全員の無事を確認
  • 製造・開発の中枢である富山事業所では、甚大な被害は生じなかったものの、施設の天井材、壁材、空調配管などに部分的な被害が生じたため、安全確認、清掃、補修などを行い、1月9日より通常の事業活動を順次開始
  • グループ会社拠点および建設中の砺波事業所(仮称)に大きな被害はなかった。
  • 被災地域に所在するパートナー企業(部材サプライヤ)の状況を確認したところ、ごく少数ながら大きな被害が生じている企業を確認。グループとしては現時点で充分な在庫量を保有しており、代替調達が可能であることから、事業活動に支障は生じない見込み
  • 富山事業所を中心とする物流網についても、大きな支障がないことを確認
  • グループの事業活動への影響は限定的であることから、連結業績への影響は軽微の見通し