Lattice Semiconductorは現地時間の12月5日より12月7日まで、ハイブリッド形式で「Lattice Developers Conference 23」を開催している(Photo01)。

  • 初日の基調講演の挨拶を行うJim Anderson氏

    Photo01:初日の基調講演の挨拶を行うJim Anderson氏(CEO兼President)。AMDのGM&SVPからLatticeに転じたのが2018年9月の事だから、もう5年も経過してる訳だ (資料提供:Lattice Semiconductor、以下すべて)

これは同社としては初のDevelopers Conferenceになるが、そもそもこの5年の間にXilinxがAMDに買収されてしまった結果として同社は独立系FPGAのトップベンダーになってしまっており、それもあってかこの5年間で同社のエコシステムパートナーは5倍に増えた(Photo02)そうである。ちなみにこのLattice Developers Conference 23は登録(無料)さえすれば、だれでもオンデマンドの形で視聴可能となっている。

  • FPGAの開発者数とかDesign数

    Photo02:FPGAの開発者数とかDesign数はLatticeにとどまらず、業界全体でという話である。とはいえ、まだ5万人程度でしかない

さて、そのDevelopers Conferenceの基調講演(Photo03)で新しく発表されたのがTSMCの16nm FinFETプロセスを採用したAvantシリーズの第2・3弾である「Avant-G」と「Avant-X」(Photo04)である。これに関する説明が日本法人のラティスセミコンダクターよりあったので、この内容をご紹介したい。

  • どちらが第2弾でどちらが第3弾なのかは不明

    Photo04:どちらが第2弾でどちらが第3弾なのかは不明。スペックを見ている限り、Avant-Xが最初にあって、これを低消費電力向けにカスタマイズしたのがAvant-Gという感じだが、このあたりは答えられないという話であった

Lattice Avantは同社としては初のミッドレンジ向けFPGAという位置づけであり、第1弾は2022年12月5日に発表された。最初のシリーズはEdge向けとなる「Avant-E」であるが、今回追加されたのは汎用向けのAvant-Gと、よりコネクティビティを強化したAvant-Xである。

Avant-XはAvant-Eに12.5GのSerDesを最大28ch追加、メモリアクセス性能を向上させた他にPCIe Gen3や10G EthernetなどのHard IPを搭載させたことで、より広範な用途に利用できるようにした製品(Photo05,06)。

  • Photo05:SerDesや各種プロトコル用のHard IPを搭載した

    Photo05:SerDesや各種プロトコル用のHard IPを搭載した事で、Interface Bridge的用途にも利用可能になった

  • Photo06:Avant-EはGPIOこそ豊富だが、高速SerDesが一切搭載されていない

    Photo06:Avant-EはGPIOこそ豊富だが、高速SerDesが一切搭載されていないので、こうした用途に使うには色々問題があった

一方Avant-XはそのSerDesをさらに強化、より帯域が必要な用途向けという位置づけになっている(Photo07,08)。

  • 要するに12.5GのSerDesでは帯域不足

    Photo07:要するに12.5GのSerDesでは帯域不足、という広帯域が要求されるマーケット向けがAvant-Xという形である

  • 25GbEで足りるのか? というのはちょっと疑問ではある

    Photo08:一例がこちら。25GbEで足りるのか? というのはちょっと疑問ではある

実のところスペックシートを見比べてみると、Avant-E/-G/-Xとも、FPGA Fabricのスペックは完全に同一になっており、相違点はSerDesやHard IPのみとなっている。Photo09がAvant-G、Photo10がAvant-Xのスペック一覧であるが、FPGAのセル数もEBR(Embedded Block RAM)の容量も、DSPの数も全く同等である(これはAvant-Eも同じ)。

  • 今回からLC(Logic Cell)の事をSLC(System Logic Cell)と称するようになった

    Photo09:ちなみに今回からLC(Logic Cell)の事をSLC(System Logic Cell)と称するようになったとの事。単に名前の変更だけで、中身には違いがないそうだ

  • Ball部の意味は総Ball数

    Photo10:Photo09も同じだが、Ball部の意味は総Ball数(High Speed, Wide Range)/SerDesチャネル数とのこと

そのため相違点は以下のような通りといったあたりで、あとはSerDesの違いという形だ。

  • メモリのサポート:Avant-EはDDR4/LPDDR4-1866まで。Avant-GはDDR4/LPDDR4-2400まで。Avant-XはDDR4/LPDDR4-2400に加え、DDR5-2100もサポート。
  • Secutiry:Avant-Eにはセキュリティ機能が無いが、Avant-Gにはbitstream encryption and authenticationの機能が、Avant-Gにはこれに加えてAdvanced user security functionsなるものが追加されている。

ちなみにソフトウェアサポートであるが、Lattice RadiantおよびLattice Propelは12月6日付でAvant-G/-X対応バージョンをリリース済(Photo11)。

また今回の発表に合わせ、sensAI/mVision/Sentry/Automationの各Solution StackもUpdateされている(Photo12)。

  • SentryはMach NX用のStackだった気がする

    Photo12:SentryはMach NX用のStackだった気がするのだが、Avant-G/-Xでも動作するのかどうか、現在問い合わせ中である

なおDeveloper Conferenceの基調講演では、実際に25G SerDesの動作デモ(Photo13)や、顔認識を利用した産業向けの安全機能のデモ(Photo14,15)、動作時の消費電力の比較(Photo16,17)、Fast Bootのデモ(Photo18,19)などが示されている。

  • 単に25GHzの信号を出せるだけでなく、きちんとSignal Integrityを確保している事をアピール

    Photo13:単に25GHzの信号を出せるだけでなく、きちんとSignal Integrityを確保している事をアピール

  • 単に顔でユーザー認証するのみならず、そのユーザーがどこを向いているかをチェックしている

    Photo14:単に顔でユーザー認証するのみならず、そのユーザーがどこを向いているかをチェックしている

  • 動作デモ

    Photo15:動作デモ。画面の下に"Focus on screen"に緑がついている事で、ちゃんと画面を見ていると認識される

  • Photo16:これは同じ16nm世代のFPGAを集めて、Ethernetへの転送を行う際の消費電力を比較するデモ

    Photo16:これは同じ16nm世代のFPGAを集めて、Ethernetへの転送を行う際の消費電力を比較するデモ

  • 競合FPGAとの電力比較

    Photo17:Arria 10は10Gbpsなのに25GbpsのAvant-Xよりも3倍消費電力が多い。Kintex Ultrascale+は多少マシだが、それでもAvant-Xのほぼ2倍となる

  • 電源をOnにしてからConfigurationが完了するまでの時間

    Photo18:要するに電源をOnにしてからConfigurationが完了するまでの時間の測定である。Avantシリーズは(Avant-Eを含めて)637K SLCのFull Configurationが60ms未満、I/O Configurationが10ms未満で完了するFast Configurationの機能がある

  • 実測値

    Photo19:実測値(単位はsec)。上からAvant-G、Arria 10 GX、Kintex Ultrascale+となっている

Avant-G/-XはすでにEarly Adapterへのサンプル出荷を開始中であり、評価用ボードもすでに準備されている(Photo20)。

  • Photo20:下がAvant-G/-X用評価ボード

    Photo20:下がAvant-G/-X用評価ボード