半導体ファウンドリ大手のTSMCが、2024年より成熟プロセスの一部で、受託生産価格を2%ほど引き下げることを検討していると、台湾の新聞「經濟日報」が台湾ファブレスIC設計業界関係者の話として報じている。

新型コロナウイルス感染症の流行以降は半導体不足もあり、価格の引き下げが進んでいなかったことから、実現されれば4年ぶりの値下げとなる模様である。先行して、中国や韓国のファウンドリが成熟プロセスの値下げを進めており、それに追随する形で台湾の中堅ファウンドリであるUMC、Powerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)、Vanguard International Semiconductor(VIS)なども値引きに向けた動きを見せている。

報道によると、台湾の複数のIC設計会社がTSMCと2024年の割引について交渉中であるとしており、その中の1社からは四半期のウェハ投入枚数に応じて、その次の四半期のフォトマスク費用を割り引く方式が提示されているという。業界関係者は、景気は現在、底の状態にあり、中国メーカーに受注を奪われれば、景気回復後も受注は戻ってこないと指摘しており、TSMCと言えども例外ではないという。

こうした値引きのうわさについて、いずれのファウンドリも、個別の顧客との価格交渉に関しては従来の方針通りノーコメントをとしている。 

なお、TSMCは、他の台湾ファウンドリとは異なり、新型コロナ特需で、他のファウンドリが半導体不足を理由に大幅値上げした際も、値上げを抑え、2023年初めに異例とも言える3~6%の値上げを行ったとされている。また、その際も顧客の在庫調整を受け、2023年上半期(1〜6月)におけるウェハ投入枚数が多い場合、成熟プロセスの受託生産を無料で行うといったボリュームディスカウント(大量割引)を行っていたようだと指摘する台湾の半導体業界関係者もいるという。