京都の中堅半導体装置メーカーであるサムコは11月17日、中期経営計画において重点課題と位置付けるクラスターツールシステムの拡販のための研究開発機能をさらに充実させることを目的に、「第三研究開発棟(仮称)」を新設することを発表した。

同研究開発棟は、同社の本社研究開発センターに隣接する形で新設され、2024年12月から運営を開始する予定だという。

  • サムコの第3研究開発棟(仮称)の完成予想図

    サムコの第3研究開発棟(仮称)の完成予想図 (出所:サムコ)

サムコは1991年に設立した研究開発センターで化合物半導体向けのCVD装置、ドライエッチング装置のプロセス開発を行ってきたが、近年の情勢の変化から化合物半導体の研究開発用装置だけではなく生産用装置に対する要望も増加してきており、2021年には電子デバイス製造向けクラスターツールシステム「クラスターH」の販売を開始していた。

今回新設を決定した第3製造棟研究開発棟では、生産が本格化するSiCパワーデバイス、GaNパワー/RFデバイス、GaAs VCSEL、MEMS、高周波フィルターなどの分野における高度化ニーズに対応することを目的とした最新の生産用装置や、走査電子顕微鏡(SEM)、膜厚計などの計測機器などが導入され、クラスターツールシステムの拡販に向けた効率的かつスピーディな研究開発を進めることを目指すという。

同開発棟は地上2階建てで、延床面積は約850平方メートルの。建屋の中には約180平方メートルのクラス1000(米国連邦規格)対応クリーンルームを設置。ポンプ類はバックヤードに設置し、パーティクルの発生を抑え、生産工場と開発環境を合わせるという。

なお、同開発棟について同社では、サムコの研究開発の中核拠点とする予定にしており、既存の研究開発センターの機能も同開発棟に移行することが予定しているとする。そのため、同社では計画的な増員を進めることで、顧客・マーケットニーズに即応した開発体制を構築していくとするほか、同開発棟が開設した後は従来の研究開発センターには旧式装置などを残し、「研修センター」として製品のサポート・サービスのトレーニングを行う場として活用される予定としているほか、産学連携拠点として、大学・研究機関との連携なども検討していくとしている。