台湾のTrendForceによると、2022年のSSD市場は2021年に生じたコントローラIC不足が解決し、供給体制は正常化したにも可関わらず、出荷台数は前年比10.7%減の1億1400万台にとどまったという。

また、出荷数上位3社は、Kingston(シェア28%)、ADATA(同9%)、Lexar(同8%)としており、中でもKingstonとADATAは市場優位性を維持し、シェアの拡大に成功したとする。4位のKimtigoは産業向けおよびOEM市場で成長を果たしシェアを8%まで拡大したとするほか、5位のNetacは、エンタープライズSSD分野でいくつかの政府発注を確保するとともに、SSD市場での競争力を維持したことで、前年同様の順位とシェア6%を確保したとしている。

  • 2022年の流通市場におけるSSDモジュールメーカートップ10シェア

    2022年の流通市場におけるSSDモジュールメーカートップ10シェア (出所:TrendForce)

注目はランキング下位で、Colorfulは中国国産のコントロールICとNANDによるコスト優位性を武器に出荷量の増加を達成したことで6位にランクインしたという。7位のPNYは、広範な国際チャネルの開発を推進することで市場の減速の影響を抑え、トップ10に返り咲いた。8位はTeclast、9位はGIGABYTE、そして10位のTranscendは産業機器の制御装置向けなど、収益性が高いニッチ製品に注力することで10位になったとしている。

また、トップ5の合計市場シェアは、2021年の53%から59%に増加したという。2023年も世界経済は厳しい状況が続いており、PCの出荷はそこまで上向きになっていないため、モジュールメーカーは継続的なNAND購入コストの平準化に向けた努力を続けてきたほか、NANDサプライヤ各社は積極的に減産を進めてきた。そのため、第3四半期末より市場は好転し、SSDの価格は上昇し、それまでの低い価格で在庫を持ってきたモジュールメーカーに恩恵をもたらしつつあるという。中でも資金力がある大手SSDメーカーは、こうした市場機会をうまくつかむことに成功したと見られており、今後数年間でさらなる成長が期待されるとTrendForceでは予測している。

中国勢が猛追

TrendForceによると、技術的な面でMaxio Technologyなどの中国国産のPCIeコントロールICなどの技術が急速に向上しており、PCIeコントローラの成熟を加速させているという。すでに同社は各NANDサプライヤと互換性のあるPCIe 4.0対応品の大量出荷のみならず、PCIe 5.0製品の開発と検証にも積極的に取り組んでいる模様で、今後、こうした中国の独立系コントローラICとモジュールメーカーの連携が活発化するものと予想されるという。

近年、不安定な市場環境に直面することとなった中国の国産SSDメーカーは、中国国内市場から国際市場への進出を目指してサプライチェーンの拡大を積極的に推進しており、例えばその先頭と目されるLongsysはモジュールの生産能力強化に向け中国蘇州のLicheng SuzhouとSMART Global Holdingsの子会社でブラジルでメモリモジュールの生産を行っているSMART Modular Technologiesの株式を取得するといった動きを見せているという。