「CES」は大画面TV等が華やかに展示される巨大な展示会のイメージが強いが、一方で世界中のスタートアップやベンチャー企業が技術をアピールする場にもなっている。

CES 2024のメイン会場であるLVCC(Las Vegas Convention Center)があるTech Eastからシャトルバスで15分程度のところにあるTech WestのVenetian会場では、世界中から集まってきた無数のスタートアップやベンチャー企業がそれぞれの技術や開発品をアピールし、将来の有望な技術や製品を見つけ出そうとする投資家や企業の参観者との熱気に包まれている。

Venetian会場のJapan Tech Projectのブース内には、日本のスタートアップや大学などから多くの出展があり、その中で名古屋大学が開発している医療の遠隔触診を取材した(図1)。

  • 名古屋大学のデモ展示風景

    図1 CES 2024 Venetian会場内のJapan Tech Projectでの名古屋大学のデモ展示風景。左側の患者側デバイスと右側の医師側デバイスとの間で、遠隔診断を行っている事を想定したデモ (会場で筆者が撮影)

遠隔触診のポイントはリアリティー(リアル感)である。触った感じと触られた感じを忠実に再現しながら映像と音声を的確に組み合わせれば、対面でなくても適切な診断が可能となる。遠隔触診でリアル感を出すための技術として、e-Rubberと透明ディスプレーとAIがカギとなる(図2)。

e-Rubberは豊田合成の開発によるゴムを利用した高分子アクチュエータ兼センサである。センサとして外部の力を電気信号に変え、相手側でアクチュエータとして元の力を再現することにより、様々な感触を再現することができる。

透明ディスプレーは、JDI(ジャパンディスプレイ)の20.8インチ透明LCDを医師とのコミュニケーションインタフェースとして使用している。

JDIの透明LCDは透過率が84%と高く、周囲の状況が見えている中で、医師の姿が空中に浮かび上がることで、医師がそこにいる様なリアル感を患者に与えることが出来る。普通のモニターディスプレーよりもリアル感が高いとの事である。未来のディスプレーとして描かれるホログラム映像の世界に近い感じであろう。

AIは、生体情報を取得し医師に提示する際のサポートやデータ遅延補正として活用する。

  • 名古屋大学が開発している遠隔触診のシステムとカギとなる技術

    図2 名古屋大学が開発している遠隔触診のシステムとカギとなる技術 (現地の取材を元に筆者が作成。写真は現地にて撮影)