テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments:TI)は、米国ユタ州リーハイにおいて新しい300mmウェハファブ「LFAB2」の起工式を執り行ったことを発表した。

LFAB2は、リーハイにある既存の300mmウェハファブ「LFAB1」との連携が予定されており、完成後は2棟のファブで、フル稼働時には1日あたり数千万個のアナログおよび組み込みプロセッシングチップを製造する予定だとしている。

  • 米国ユタ州リーハイで行われたLFAB2の起工式の様子

    米国ユタ州リーハイで行われたLFAB2の起工式の様子(出所:TI)

TIの社長兼CEOを務めるハビブ・イラン氏は「TIはユタ州で製造能力を拡大する工程の重要な一歩を踏み出した。TIの顧客のニーズに対応できる製造能力を確保するため、今後数十年にわたって行う予定である300mmの製造能力に関する長期的なロードマップがあるが、この新たなファブはそのロードマップの一部だ」と説明。LFAB2の稼働に伴い、約800人の直接雇用が生み出されることが見込まれるほか、建設に際して間接的に数千の雇用を創出すると同社では説明しており、実際の量産開始は2026年初めになる見込みだとする。

  • 米国ユタ州リーハイで建設が開始されたLFAB2の初期計画図

    米国ユタ州リーハイで建設が開始されたLFAB2の初期計画図(出所:TI)

また、LFAB2はTIの既存の300mmウェハファブである、ユタ州リーハイにあるLFAB1、テキサス州ダラスにあるDMOS6、テキサス州リチャードソンにあるRFAB1とRFAB2を補完する役割を担う予定。さらにテキサス州シャーマンでも新たな4棟の300mmウェハファブ(SM1、SM2、SM3、SM4)が建設中で、こちらは早ければ2025年に最初のファブでの製造が開始される予定となっている。

このほか、TIでは、教育に対する取り組みの一環として、アルパイン学区に900万ドルを投資し、ユタ州初のSTEM(科学・テクノロジー・工学・数学)のラーニングコミュニティを創設することも明らかにした。同コミュニティは、幼稚園生から高校3年生まで約8万5000人の生徒を対象とした教育プログラムで、コースワーク(教育課程)にSTEMの概念を奥深くまで行き渡らせ、担当する教員や管理者に、STEMを土台とする職業能力開発の機会が提供されるものになるという。こうした取り組みを通じて、例えばクリティカルシンキングや、互いに協力し創造性の高い問題解決を行う能力を身に着けることが可能となり、卒業後の成功を手助けすることができるようになると同社では説明している。

なお、TIは引き続き製造とテクノロジーに対する投資を行い、長期的な製造能力計画を遂行していくとしている。