NXP Semiconductorsは、オートバイや電動スクーターなど二輪車向けに設計されたデジタル・インスツルメント・クラスタとコネクティビティを同時に1つのSoCで実現するリファレンス・プラットフォームを発表した。

同プラットフォームは同社のi.MX RT1170クロスオーバーMCUと1チップWi-Fi 6、Bluetooth/Bluetooth Low Energy Audioソリューション、セキュア・ワイヤレスアクセスMCU「KW45」などを組み合わせることで二輪車のユーザー・エクスペリエンスを向上しつつ、高いコスト効率を提供するシステム開発をサポートするほか、ハンズフリー通話、スマートフォンとのワイヤレス・ペアリングによるプロジェクション、Bluetoothオーディオ、OTAアップデート、クラウド接続、フリート管理、セキュアなカー・アクセス、車両位置特定など、高性能グラフィックスと豊富なコネクティビティ・ユースケースを実現するという。

二輪車にも電動化の波が押し寄せており、充実したグラフィック性能を持つコネクテッド・デジタル・ディスプレイは、ナビゲーション情報やバッテリー残量、車両の状態、充電ポイントの位置などを確認するための重要な情報をドライバーに提供するための鍵を握る存在となる。二輪車は四輪のEV車に比べ 航続距離が限られており、安全な走行にはこうした情報が欠かせない。またOEMにとっても、システムに記録される使用状況やバッテリー寿命などのデータは重要な情報になる。

NXPのデジタル・インスツルメント・クラスタとコネクティビティ・リファレンス・プラットフォームはこれらの必須機能をOEMに提供するだけでなく、広範なコネクティビティ・ユースケースにおけるユーザー・エクスペリエンスの向上を実現するとのことで、スマートフォン、スクーター搭載のデジタル・クラスタ、ヘッドフォン間の3Way Bluetoothペアリングや、ドライバーと同乗者の音楽共有、さらには駐車場で「自分のバイクを探す」位置特定機能も装備されている。

この新しいクラスタとコネクティビティ・リファレンス・プラットフォームにはAEC-Q100 Grade 3認証を取得したNXPの無線LAN、Bluetooth、GPS、オーディオ、ディスプレイ、カメラ・センサなどの周辺機器に接続可能な幅広いインタフェースを備え、ベクター・グラフィックス・アクセラレータも備えたi.MX RT1170クロスオーバーMCUが搭載されている。高集積のi.MX RT1170は高価な外部メモリや電源管理サブシステムを必要としないため、システム・コストの削減につながることが期待されるほか、MCU Xpresso Software Development Kit(SDK)内に含まれるWi-Fi/Bluetoothデバイス・ドライバやディスプレイ、GNSSなどにも対応しているため、開発者は独自の二輪車用コネクテッド・クラスタを容易に開発することが可能であるともしている。

なお同社では、「デジタル・インストルメント・クラスタは車両の状態を運転手に通知するだけでなく、運転手が自分の好みに合わせて車両をカスタマイズする手段も提供する。アップデートとカスタマイズが可能なので、最新の安全性、セキュリティ、コネクティビティ機能をサポートすることができ、要求される性能やワイヤレス・コネクティビティ機能、コストをバランス良く考慮したプラットフォームを実現することができる」と説明している。

  • 電動バイクのイメージ

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