LINEヤフーは10月12日、都内で記者説明会を開き、未経験者からITエンジニアへの転職を支援するリスキリングプログラム「LINEヤフーテックアカデミー」を開設し、受講生の募集を開始すると発表した。

  • 左からLINEヤフー LINEヤフーテックアカデミー プロダクトオーナー 兼 推進室 室長の佐野ひかり氏、キラメックス 取締役の伏田雅輝氏

    左からLINEヤフー LINEヤフーテックアカデミー プロダクトオーナー 兼 推進室 室長の佐野ひかり氏、キラメックス 取締役の伏田雅輝氏

LINEヤフーテックアカデミーは、前身となるYahoo!テックアカデミーの内容をベースにメタバースの本格活用や、応募上限・期間の撤廃などのアップデートを行うことで、受講生の継続学習や転職活動を支援するというもの。

また、同プログラムは経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に採択されており、一定の条件を満たすことで、受講料50万円(税別)の最大70%(35万円分)が補助される。

  • 「LINEヤフーテックアカデミー」の概要

    「LINEヤフーテックアカデミー」の概要

テックアカデミーの運営会社であるキラメックス 取締役の伏田雅輝氏は、リスキリングの重要性について「DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進に伴い、必要とされるスキルが変化し、人生100時代を迎えるとともに就労時間が長期化しており、転職による処遇改善などがある」と述べた。

  • 伏田氏

    伏田氏

経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足する可能性が指摘されており、IT人材の育成が急務となっている。そのような中、2022年10月には首相の所信表明演説でリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると表明したほか、2023年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」(「骨太の方針2023」)において、学びなおしの支援や労働移動の円滑化などといった「三位一体の労働市場改革」が掲げられている。

また、経産省は民間企業と連携し、社会人の学びなおしから転職までを支援する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を開始しており、3年間で33万人の支援を目指すと方針としている。同事業にはテックアカデミーも採択されており、そのほかにもデジタルスキルが身に付くスクール、学習サービス、転職支援サービスなどが採択されている。

リスキリングを取り巻く市場の変化としては、2022年度の国内eラーニング市場は前年度比4.3%増の3705億円と増加している。

伏田氏は「社会人向け情報教育市場では、これまでの顧客の中心は20~30代前半の男性だったが、現在では性別・年齢問わず拡大するなどユーザーの属性が変化している。具体的には、2023年に女性の割合が増加し、幅広い年代がリスキリングに取り組む傾向にあり、リスキリングに対する認知・傾向も拡大傾向にある」との見解を示した。

一方、LINEヤフーは、2022年11月にIT人材不足の課題解決に寄与すべく、キラメックスと業務提携し、Yahoo!テックアカデミーを開設。初回の受講生のうち、プログラミング未経験者は約9割だったものの、「非正規雇用からエンジニアの正社員に転職」「コロナ禍でキャリアを再考し、エンジニアに転職して年収約150万円増加」などの事例が生まれているという。

そして、名称を改めたLINEヤフーテックアカデミーに関して佐野氏は「日本の人材不足という社会課題の解決を目的にとして完全オンラインのプログラミングスクール。今回、これまで設けていた応募条件や応募期限を撤廃し、前回は定員が100人(応募多数で結果的に140人に増枠)だったが、今回から定員上限をなくして常時開校とすることで、受講希望者はいつでも申し込み可能になる。まずは、Webアプリケーション開発コースからスタートする」と説明した。

  • 佐野氏

    佐野氏

また、新たにメタバース(バーチャル空間)を本格活用することを決定し、キラメックスが自社で運営するサービスで行った検証では、メタバースを活用した人は活用していない人と比べて、最終課題の合格までの日数が約23%減少し、期限内に最終課題に合格した人の割合も17%増加するといった効果があることを確認している。

ユーザーは、メタバース上で自身のアバターを自由に動かして、「自習室」や「メンター相談室」などの各空間を移動でき、音声やチャットを通じた受講生同士のコミュニケーションや、キラメックスと契約しているメンターへの質問・相談が可能。LINEヤフーで働く現役エンジニアによる講義などといったイベントにもメタバース上で参加できるという。

  • プログラムではメタバースも活用する

    プログラムではメタバースも活用する

応募条件は期間内に320時間の学習時間を確保でき、インターネット環境に接続できる一定スペック以上のPCを保有し、受講期間は16週間。転職支援期間は学習期間終了後、最大24週間となる。講義内容はJava、Linux、Spring Boot、個人開発課題など、学習支援はビデオ会議システムでの専属メンター相談(週2回)、Slackでのチャットサポート(15時~23時)。

  • プログラムの全体像

    プログラムの全体像

今後、同サービスを通じて、5年間で1万5千人のリスキリングを支援することを目標としており、Webアプリケーション開発以外の領域にも提供内容を拡大していく方針だ。