Intelは10月3日(米国時間)、同社のプログラマブル・ソリューション・グループ(PSG)を独立した事業として分離する意向を発表した。

同事業は同社が2015年12月に買収したAlteraのFPGAなどの製品群を継承しており、独立した事業とすることでPSGは、データセンター、通信、産業、自動車、航空宇宙、防衛分野を含む幅広い市場にサービスを提供するFPGA業界での競争に必要な自主性と柔軟性を得ることができるとしている。IntelのEVPのSandra Rivera氏が最高経営責任者(CEO)に就任し、Shannon Poulin氏が最高執行責任者(COO)に任命された。

Intelによると、Sandra Rivera氏は同社のDCAI(データセンタおよび人工知能)事業をリーダーシップと成長への道筋に戻す変革を推進してきたという。同氏の実績は、ネットワーク・プラットフォーム・グループのリーダーシップにもおよび、シリコンとソフトウェアの統合を推進することで、より大きな顧客価値を生み出し、ネットワークインフラをIntelベースのソリューションに進化させたともしている。すでにIntelでは、DCAIの新たなリーダー候補の探索に向け、大規模な社内外の人材へのアクセスを開始しており、その人物が特定されるまで、Rivera氏は引き続きDCAI事業も指揮し続けるという。

PSGの単独運営は、2024年1月1日付で開始される予定で、Intelは、2024年第1四半期の財務報告の発表から、PSGを別の事業単位として報告する予定としているほか、2~3年後をめどにPSGのIPOを実施することも検討しており、Intelが過半数の株式を保持したままとなるが、個人投資家と事業の成長を加速する機会も模索していくとしている。

同社ではPSGとIntel Foundry Services(IFS)との関係は継続し、戦略的な連携が維持され、FPGA市場の主要分野に協力して取り組んでいくことになるとしている一方で、PSGがIntelから独立することで、顧客のニーズに合わせた柔軟性のあるサプライ・チェーンを確保できるようになるともしている。

なお、サードパーティの推計によると、FPGA市場は年平均成長率(CAGR)9%を超す勢いで成長して行き、市場規模は2023年の80億ドルから2027年には115億ドルに達することが期待されるという。Intelでは、2023年第2四半期決算にて、PSGが3四半期連続で記録的な収益を達成したことを強調していたが、2023年中に15製品を投入する予定で、第2四半期にはチップレットを採用したAgilex 7シリーズを発売するなど、すでに11製品を投入したとしている。

近年、IntelはイスラエルMobileyeのIPOを実施したほか、オーストリアIMS NanofabricationへのBain CapitalならびにTSMCからの資本受け入れなど、積極的な選択と集中を推進しており、そうした動きを踏まえると、同社が掲げるIDM 2.0戦略の実現に中核事業を残して、周辺の資産は同社の株主のための価値創出に向けていると捉えることができるだろう。