TSMCに近しい半導体業界関係者によると、TSMCが日本の熊本県に建設を行っている熊本工場(JASM:Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)は、計画通りにスケジュールが進んでおり、10月にも生産設備の搬入を開始する見通しで、早ければ2024年4月にも一部試験生産を開始し、予定通り同年末には量産を開始するという。

同社は9月15日付で、本社を熊本市内の仮事務所から菊陽町の新キャンパスのオフィス棟に移転。台湾にあるTSMCの施設にて長期研修中だったソニーセミコンダクタマニュファクチャリングからの出向者やJASMが新規採用した社員も相次いで帰国し、装置搬入・立ち上げの準備が整った模様である。

また、JASMは、工場で使用する1日当たりの地下水の採取量を、当初の発表の1万2000トンから3割削減の8500トンと熊本県ならびに菊陽町に申請したという。同社は水処理技術を活用して水のリサイクル率75%を目標に掲げ、最終的には地下水採取量の100%以上の涵養を目指すとしている。

なおTSMCは、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング熊本第2工場の建設(2025年度完成予定)に同期する形で、JASMの隣接地に熊本第2工場の建設を決めており、こちらは2024年4月の着工、ならびに2026年末からの量産開始を予定しており、継続して工場の建設が進められれば、今後、熊本および九州を中心に、必要となる大量の半導体技術者の育成が急務となるだろう。