岐阜大学、三菱化工機、レゾナックの3者は9月14日、「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」の研究開発テーマ「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、燃焼器用改質器ユニットおよび燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働していくことを発表した。
水素エネルギーの活用に向けた取り組みが各所で進められているが、水素を気体として運搬しようとすると安全性ならびに密度に対するコストなどの課題があり、よりエネルギー密度が高く、安全性も高いアンモニアを水素キャリアとすることが期待されている。しかし、現状において産業、運輸、民生といった分野でのアンモニア利用の用途開発は少なく、社会実装のための用途開拓などを行っていく必要がある。今回の研究開発テーマであるアンモニア・水素利用分散型エネルギーシステムでは、産業ニーズの高いアンモニア・水素利用の工業炉、ボイラー、ガスエンジンおよび燃料電池発電システム、コミュニティ内水素搬送・利用システムの要素研究と実証研究を目的としたもので、岐阜大学が代表研究開発機関となり、研究開発テーマ全体の管理・運営に加え、燃料電池用改質器ユニット向け自己加熱型触媒反応装置の開発や水素分離装置・アンモニア除外装置の開発などを担当する。
また、三菱化工機は燃焼器用改質器ユニットの開発において、アンモニア分解触媒の負荷・温度応答、触媒反応器の設計・製作・運転制御、燃焼器用改質器ユニット実用機の設計・製作・実証試験などを担当するほか、燃料電池用改質器ユニットの開発において、燃料電池用改質器ユニット実用機の設計・製作・実証試験を担当するとしている。
さらにレゾナックは、燃焼器用改質器ユニットの開発において、アンモニア分解触媒の開発ならびにアンモニア分解触媒の量産化検討を担当するとしており、今後、3者は、燃焼器用改質器ユニットと燃料電池用改質器ユニットの開発において、実証機の設計・製作・運転の実現に向けて協働していく予定としている。
なお、この協働による研究開発期間は2028年3月までが予定されている。