不確実性が高く、変化へのスピーディな対応が求められる現代。自社のビジネスにおいて競争優位・差別化要素をつくり出す領域へリソースをシフトするために、 ビジネスの広範囲を支えるITインフラの在り方を再考する時機に差しかかっている。クラウドの利用を前提とし、その特性を活かせるよう設計を最適化するためには何が必要なのか。

2023年7月13日、14日に開催された「TECH+ フォーラム クラウドインフラ Days 2023 Jul. 『ビジネスを支えるクラウドの本質』」は、「Day1:クラウドへの移行、活用」「Day2:クラウドネイティブ」の2つのテーマにフォーカスが当てられた。

以下では、基調講演および編集部セッションのレポートへのリンクをまとめている。これからのクラウドの在り方を考察するヒントにしていただきたい。

DAY1:基調講演

A-1:今、クラウドについて語るとき澤が語ること 〜最新テクノロジーと向き合うために必要なマインドセット

  登壇者:株式会社圓窓 代表取締役/元日本マイクロソフト 業務執行役員 澤円氏
クラウドが世に出てからすでに10年以上経過しました。 しかし、まだクラウド移行の手前で足踏みをしていたり、クラウドシステムの運用に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。 なぜ今、クラウドなのか。 改めて考える機会にしましょう。

特別講演

A-3:銀行でもできる!クラウドではじめる全社DX

  登壇者: 株式会社北國フィナンシャルホールディングス 株式会社北國銀行 執行役員 システム部長 岩間正樹氏
レガシーシステムへの対応、典型的なヒエラルキー型の組織、品質至上主義といった、デジタルトランスフォーメーションからはほど遠いイメージが強い「銀行」をどのように変えていけばいいのか…クラウドを活用しながら全社一丸となってDXを進めてきた北國フィナンシャルホールディングスの取組事例をご紹介します。

B-3:クラウドを活用した内製化への取り組み

  登壇者: 株式会社エディオン ITソリューション開発部 部長 松藤伸行氏
ビジネスの変化に柔軟に対応できるシステム構築を目指し、グループ会社のエンジニアを中心に内製開発を進めています。構築・開発・運用を自社でしっかりとコントロールし、ビジネスを支えるIT基盤の強化の取り組みについて、いくつかの事例をもとにご紹介します。

A-6:クラウド移行の現実課題に企業はどう対処すべきか

  登壇者: フジテック株式会社 専務執行役員 デジタルイノベーション本部長 友岡賢二氏
クラウド化の第一幕はコロナ禍のテレワーク推進で大きく進んだ企業が多いと思います。一方でクラウド化したシステムとオンプレミスレガシーシステムとの共存・連携や、異なるクラウド間のデータ連携といったマルチクラウドを運用する上での新たな課題や、様々なサービス上にデータが分散してしまう問題などが生じます。企業はこのような現実的な課題にどのように対処すべきか、そしてその先に何が実現出来るのかについて、実際にフジテックで試行錯誤しながら実践している内容についてご紹介致します。

B-6:創業140年を超える鴻池運輸が挑むクラウドファースト戦略とITモダナイゼーション

  登壇者: 鴻池運輸株式会社 ICT推進本部 デジタルトランスフォーメーション推進部 部長 佐藤雅哉氏
製造業やサービス業をサポートする請負サービスと国内外のあらゆるニーズに対応する物流サービスを展開する鴻池運輸は、2018年からの中期IT戦略にクラウドファースト戦略を掲げてICT基盤の改革を進めてきました。そのクラウド化の取り組みの1つである現場の基幹システムマイグレーションにおいて、どの様な課題があってどう対応してきたのか、クラウド化によってどんな気付きがあったのか、その実態をご紹介します。

DAY2:基調講演

A-1:競争優位性のためのクラウドネイティブ活用術

  登壇者:株式会社ギックス 上級執行役員 Chief Technologist 兼 Chief Architect/前:株式会社ZOZO アーキテクト 岡大勝氏
企業のクラウド活用は導入そのものが目的のフェーズを終え、いかにビジネスの競争優位性を高めるかというフェーズに入りつつあります。 ただ、クラウド導入は進めているものの、クラウドのメリットをうまく享受できずにいる組織も少なくありません。 本講演では、クラウドネイティブの持つ能力を引き出し、組織の競争優位性につなげるためのアプローチを具体例を交えながらご紹介していきます。 ”クラウドで勝つ”ためのノウハウを参加者の皆さんと共有できることを楽しみにしています。

特別講演

C-3:モノリスからの変革。モノタロウの強みを伸ばすクラウドネイティブ戦略とは

  登壇者: 株式会社MonotaRO CSE部門 CTO-Officeグループ 藤本洋一氏
モノタロウは「資材調達ネットワークを変革する」ことをミッションに、間接資材を中心にありとあらゆるモノを取り扱うECサイトを運営しています。本セッションでは当社において内製システムのモダナイゼーションを進める上で見えてきた組織的なビジョンの重要性と、組織横断でのクラウドネイティブ化の取り組みをお話しします。

D-3:大規模マルチクラウド環境におけるセキュリティ対応の実践

  登壇者: GMOペパボ株式会社 技術部 技術基盤チーム シニア・プリンシパル エンジニア 山下和彦氏
プライベートクラウド、AWS、GCPを活用するGMOペパボ株式会社において、それぞれの環境におけるセキュリティ上の課題をどのように解決しているのかについて実践的なノウハウを共有します。 またセキュリティは技術のみではなく、組織的な取り組みも必要です。組織面においてもどのような仕組みで運用しているのかを紹介します。

C-6:クラウドサービス開発内製化の壁を乗り越える

  登壇者: 株式会社デンソー クラウドサービス部 デジタルイノベーション室 佐藤義永氏
クラウドサービス開発の組織立ち上げから7年目を迎え、アジャイル開発、クラウドネイティブ、DevOpsなど様々のプラクティスや技術を積極的に取り入れることで、より良いプロダクト、より良いチーム作りを目指してきました。本セッションでは、取り組みの中で痛感した内製化の困難さ、プラクティス導入のハードルの高さ、その解決方法について一緒に考えていきたいと思います。

D-6:組織としてDevSecOpsを浸透させるには

  登壇者: アクセンチュア株式会社 テクノロジーコンサルティング本部 セキュリティグループ マネージャー 田原聖也氏
昨今のシステム開発において、DevSecOpsの必要性については疑う余地がない潮流かと思います。そこで論点となりやすいのは製品・ツール選定ですが、何を採用した場合でも、組織にDevSecOpsを浸透させるという壁が立ちはだかります。 この問題に対して、複数のお客様とDevSecOpsを導入した経験をもとに、実践的な解決策やアイディアを提供できればと思います。