スカパーJSATは8月7日、総務省から受託中の研究開発案件「衛星通信における量子暗号技術の研究開発」において、原理実証実験に使用する光通信用装置の打ち上げに成功したことを発表した。

  • 今般打ち上げに成功した光通信用装置の外観

    今般打ち上げに成功した光通信用装置の外観(c)情報通信研究機構・ソニーコンピュータサイエンス研究所・次世代宇宙システム技術研究組合(出所:スカパーJSAT)

同装置は、8月2日午前9時30分(日本時間)に、米・バージニア州の米国航空宇宙局(NASA)ワロップス飛行施設から、ノースロップ・グラマンのロケット「Antares」によって打ち上げられ、8月4日午後9時28分(日本時間)に、国際宇宙ステーション(ISS)に到着したという。今後は、光通信用装置をISS船外へと搬出し、衛星と地上の可搬型地上局やPCとの間で、光通信の実証実験を開始する予定だとする。

  • ISSと地上間での光通信を用いた実証実験の概要図

    ISSと地上間での光通信を用いた実証実験の概要図(c)情報通信研究機構・スカパーJSAT(出所:スカパーJSAT)

なお今回の実証実験は、2022年12月に実施された「東京スカイツリー-上野恩賜公園第一駐車場間での地上間光伝送模擬実証」の延長として、宇宙空間と地上間での実施に至ったとのことだ。

スカパーJSATは今後も引き続き、計算技術が発展しても盗聴解読のリスクが無い安全性を備える量子暗号を用いた衛星通信網の実現に向け、これまで宇宙事業で培われた知見と創意を活用し、宇宙産業の発展に貢献するとしている。